「いのちの真実」に目覚め
平和とは神仏から賜るもの
「和」の雰囲気を大事に参加を
平和とは神仏から賜るもの
「和」の雰囲気を大事に参加を
2006(平成18)年1月1日
新日本宗教団体連合会
理事長 庭野 日鑛
新日本宗教団体連合会
理事長 庭野 日鑛
あけましておめでとうございます。謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
昨年は、戦後60年という節目の年にあたりました。それぞれのご教団におかれましても、戦争で亡くなられたすべての方々の御霊に深い哀悼の意を捧げられると共に、絶対非戦と平和への誓いを新たにされたことと存じます。
8月14日、国立千鳥ケ淵戦没者墓苑で営まれた「第40回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」には、新宗連加盟教団の会員・信徒の皆さま約4千人のご参列を頂きました。国立千鳥ケ淵戦没者墓苑に眠るご遺骨は、戦後、各戦地よりお納めされたものであり、全戦没者を象徴しております。その墓苑で40年にわたり、慰霊の誠を捧げてまいりましたことは、宗教者の平和実現に向ける固い決意を象徴したものと申せます。とりわけ今年は、新宗連青年会の北陸、中部、近畿、新潟各連盟や県委員会の青年代表が、初めて団体で慰霊参拝を行い、尊いいのちを失った同世代の若者たちをはじめとする戦没者の御霊に真心からの慰霊を捧げられました。誠に意義深いことであったと思います。
「平和への巡礼」を実施
この平和祈願式典で捧げた祈りと誓いを具体的に表す行動として、10月下旬には、世界で初めての被爆地である広島・長崎、国内で唯一地上戦のあった沖縄の戦跡などを訪ねる「平和への巡礼」を実施し、加盟教団代表の皆さまと共に、慰霊と世界平和への祈りを捧げさせて頂きました。
広島、長崎、沖縄の各地では、地元の総支部、県協議会の方々が万全の受け入れ準備をしてくださり、全行程を滞りなく進めることができました。また慰霊式典には、加盟教団から大勢の会員・信徒の方々が参列してくださり、ご一緒に慰霊の誠を捧げさせて頂きました。改めて心より御礼申し上げます。
各地での慰霊式典は、本当に真心のこもった素晴らしいものとなりました。特に心に残りましたのは、「平和に向けて」と題した諸先生方のスピーチでした。
思親会の古川謙一先生は、「苦しみ、涙している人が一人でもいる限り私たち自身も決して幸せではない。その思いを持ち続けることが、私たち人間の義務」とおっしゃいました。玉光神社の本山一博先生は、「他の人の人生を変わってあげることはできない。戦争が起こり、筆舌に尽くしがたい苦が生まれたら、誰もそれをあがなうことはできない。だから人間には、戦争をおこす権利などない」と訴えられました。また救世真教の新井光興先生は、「他の人を自分と違うからと受け入れられない。その差別意識が憎しみを生み、暴力、戦争につながる。そうした誰もが持っている心をなくしていきたい」と誓願されました。
どれもが宗教の本質を表した宝のようなお言葉でした。新宗連に集う一人として、こうした宗教の平和観をお互いさま心に刻み込み、戦後60年を期して、一層具体的な行動につなげてまいりたいものであります。
現実の課題に取り組み
また昨年、新宗連では、現代の社会問題に対しても、さまざまな取り組みがなされました。
脳死・臓器移植問題に関しましては、1997(平成9)年から「生命倫理研究会」を設置し、研究を重ねてまいりました。その成果を踏まえ、3月には、自由民主党の「脳死・生命倫理および臓器移植調査会」に「『臓器移植法改正』に対する声明」を提出致しました。
10月に開かれた全国総会では、設置から1年を経た「憲法問題研究会」によって研究報告を兼ねたシンポジウムが行われ、憲法改正問題に対する基本的な視座が確認されました。
環境問題に対しては、7月から3カ月間にわたり、「第2次電力ダイエット運動」が実施されました。各家庭で電力の消費を抑え、簡素な生活を心がけることは、単に環境保護という意味合いだけでなく、過剰消費に慣れた現代人のライフスタイルそのものを省みる上でも大切なことと受けとめています。
こうした現実社会の諸課題に取り組むことは、宗教者の大事な役割です。しかし何より、新宗連の諸活動は、常に深い宗教心を根本としていることが、最大の特長であります。
私ども一人ひとりは、この宇宙にただ一人の、かけがえのない存在であり、大いなる存在、宇宙の一切合切のお陰さまで生かされて生きています。この世の全ての人々が、こうした「いのちの真実」に目覚め、深い感謝の念で、心底から神仏に帰依し、頭を垂れることができるならば、そこにはたちどころに平和が現出します。いわば平和とは、築くというより、神仏から賜るもの、与えて頂くものということができます。その意味では、新宗連に加盟される各ご教団が、一人でも多くの方に教えを広めてくださることが、そのまま現実社会をより良いものとすることにつながることを心に銘じつつ、現実の諸課題に取り組むことが大切であろうと思います。
絆をさらに強めて
本年、私は、新宗連理事長の大役を拝命して3年目を迎えます。昨年も、数々のご教団を訪問し、多くの教団幹部の方々、会員・信徒の皆さまと触れ合う機会を頂きました。その出会いを通し、各ご教団はもちろん、総支部、地域協議会の方々の力強いご支援によって新宗連全体が支えられていることを、改めて肌で感じ取ることができました。こうした絆を、さらに強めていけるよう、できる限りのお役を果たさせて頂く所存であります。
折しも本年、新宗連は、結成55周年を迎えます。理事長就任にあたり、私は「新宗連は、いわば一つの家族」と申し上げました。今後も、常に和気あいあいとした「和」の雰囲気を大事にし、加盟されている全てのご教団が一層活発にご参加頂ける新宗連を目指してまいりたいと思います。
皆さまから一層のご協力を頂戴できますことを、心よりお願い申し上げ、年頭にあたってのあいさつと致します。
2006/1/1
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