新宗連 全国総会
理事会のでは、保積理事長が特別提言を行い、新宗連が1969(昭和44)年の理事会で決定した、自民党の靖国神社法案、国家護持推進への対案であった「靖国神社国民護持要綱」などを挙げ、今日も続く首相・閣僚の靖国参拝問題の解決へ向け、宗教者として取り組んでいくことに理解を求めた。
理事会後には、全国総支部会議を開催し、理事会報告ほか、同会議のあり方などについて意見交換を行った。
会員総会・学習会 新宗連の原点と課題を学ぶ
翌8日午前には会員総会・学習会を開催。同様の学習会は、これまでも全国総会で開催してきたが、今回は公益財団法人・新宗連の会員である加盟教団の代表者並びに役職者に広く参加を呼びかけて開催した。はじめに新宗連の礎を築いた大石秀典初代事務局長の足跡を辿るDVD映像を上映。続いて山田匡男総局長が基調講演を行い、新宗連の歴史から、信教の自由の堅持と平和実現に向けたさまざまな活動を解説。パネル討議では新井光興企画委員会委員長の司会のもと、本山一博信教の自由委員会委員長と赤川惠一憲法研究会座長、岩渕明大新宗連青年会委員長がそれぞれ現在の活動と今後の課題について発題。参加者との質疑を重ね、新宗連活動の活性化へ向けた真摯な意見、提言が続いた。霊峰・富士―信仰と芸術の視点から学ぶ
平成26年度首都圏総支部総会
午後1時から総務会を開き、来年度事業計画案と予算案などを協議。午後3時からは学習会を開催し、正井啓介会長のあいさつの後、真言宗智山派放光寺長老で元富士山世界文化遺産山梨県学術委員会委員長の清雲俊元氏が「富士山と信仰」と題し、講演した。
自身が関わった富士山の世界遺産登録について説明。登録へ向け、清掃団体が数多く立ち上がり、綺麗にしたことや、登録に必要であった三保の松原といった景観や、近隣の神社などを紹介し、登録に際しての苦労を語った。
続いて、「芸術の源泉」と「信仰の対象」の観点から富士山を解説。富士山は8世紀、日本最古の歌集とされる『万葉集』ですでに詠まれていることや、どの時代の絵画にも富士山が登場することを挙げた。また、「世界中の人が、日本の芸術作品に必ず登場していることで富士山を知っている」と日本芸術には富士山が欠かせないことを解説。
「信仰の対象」については、奈良時代末期から平安時代にかけて噴火が起き、恐ろしくかつ神秘的な山として遥拝の対象であったが、火山活動が休止期に入り、修験行者による登拝が行われたことや、16世紀に入り富士講の教義が広まり、登山道が数多く開かれたことなどを紹介し、「日本人は古くから、富士山を信仰の対象にしていた」と述べた。
翌3日は、前日の学習会を踏まえ、参加者有志が富士山の世界遺産登録の構成資産の一つ、北口本宮冨士浅間神社を参拝。「霊峰・富士」の歴史と信仰の一端を学んだ。
戦争責任への対処、「想起の文化」を創る
宗教者九条の和 第10回シンポと平和巡礼
宗教者有志で構成する「宗教者九条の和」(事務局=東京都渋谷区 日本山妙法寺内)は9月27日午後零時半から、東京都文京区の東京カテドラル関口教会で、第10回シンポジウム「輝かせたい憲法第九条」を開催した。シンポは、宗教者九条の和の世話人を代表し、宮城泰年聖護院門跡門主のメッセージ披露、活動報告が行われた後、三宅晶子千葉大学教授(ドイツ文化論・比較文化論)が講演。「国家が戦争に向かっていく時―宗教と〈人間の尊厳〉弾圧・抵抗・協力の過去と現在」のテーマのもと、19世紀以降のドイツと日本の歴史を振り返り、主に大戦、戦後の歴史を比較した。ナチス独裁政権と日本の軍国主義がどのように確立していったかを、さまざまな事件や政治情勢を基に解説した。
また、三宅氏はドイツと日本の戦争責任への対処についても言及。ドイツは自国での裁判でナチス犯罪を認め、犠牲者への補償と名誉回復を図り、ナチス犯罪は時効を廃止し、歴代大統領が謝罪の言葉を述べ、国内に多くの記念碑・モニュメントを作成し、次世代への教育を現在も行っていることを解説。一方、日本は自国による裁判は見られず、戦争中の抵抗運動は広く伝えられていないこと、加害についてはタブー視か排除、修正の姿勢がみられると分析した。
そして、「両国には、想起の文化に違いがある」として、ドイツは「被害の想起」より「加害の想起」を重視しているのに対し、日本はその逆であることを指摘。ドイツの「想起の文化」は市民が担ってきたことを述べ、日本では憲法9条により戦後、武器を持って一人も殺していないことを挙げ、憲法9条を守る市民運動の重要性を説いた。
シンポの後、参加者は会場からJR目白駅まで平和巡礼(行進)を行った。
ミュージアムで学ぶ宗教文化
国学院日文研・国際研究フォーラム
同フォーラムの趣旨は、ミュージアム(博物館や美術館)を宗教文化の学びの場としてとらえ、デジタル技術の進化した現代において、その新たな可能性を探るというもの。
4人のパネリストがテーマに沿い報告。この中で、国学院大学の上西亘特任助教は「神道・神社博物館の課題と展望」と題して発題。日本全国にある大小の神社が運営する「神社博物館」(いわゆる宝物館など)を調査した経験を踏まえ、小規模な神社では人材や資金の面などで、デジタル技術導入に困難が伴うことを指摘。その上で「大学の研究機関などが、博物館間の横のつながりを構築することが必要ではないか」と問題提起した。
アマースト大学のサミュエル・モース教授(アメリカ)は、「宗教美術・ミュージアム・デジタル時代」と題して発題。ボストン美術館で1992年、「洞察としてのモノ―日本の仏教美術と儀式」という展示を企画・開催した経緯を報告した。同展示では、宗教的オブジェが美術館に展示されることによって、本来持っていたオブジェの「文脈」が消し去られてしまうことに対し、宗教的な空間や信仰儀礼を再現することに努めたことを述べた。同展示から20年余が経過した現在、デジタル技術の進歩により、「宗教的オブジェを、再び本来の文脈へと再統合する可能性が開けてきたのではないか」と述べた。
2014/10/10
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