宗教もしもし相談室
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Headline No.32 信教の自由・政教分離 憲法改正論議から問う

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新宗連 信教の自由委員会

 新日本宗教団体連合会(新宗連、保積秀胤理事長)信教の自由委員会(本山一博委員長)は11月20日午後1時半から、東京・杉並のセレニティホールで「第3回現代社会と信教の自由公開講座」を開催した。今回のテーマは「憲法施行から67年―いま、『信教の自由』と『政教分離』を考える―憲法改正論議の現状と課題」。2012(平成24年)に出された自由民主党の「日本国憲法改正草案」を議論の中心に据え、「信教の自由」「政教分離」について討議を行った。
 慶応義塾大学名誉教授の小林節氏が基調発題。小林氏は、人間が生きていく上での価値観の中心に宗教があり、「信教の自由」こそが「基本的人権の基(もとい)」と説明。宗教団体は教えの説得力と行いの魅力で人を集めるのであって、国家がその自由競争には介入しないという、「信教の自由」「政教分離」の原則の重要性を語った。
 その上で、自民党の改正草案第20条に言及。改正草案では「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては」宗教活動が可能としていることについて、「靖国神社への公式参拝を日本の伝統、常識、つまり『非宗教行為』にしようとしている」と指摘。8月15日に靖国神社へ行くということを、自民党が「習俗」にしようとしていると警鐘を鳴らした。
 続いて、パネルディスカッションに移り、新宗連憲法研究会委員の菊田生八氏(パーフェクト リバティー教団塩釜教会教会長)とNPO法人被災支援ネットワーク・東北ヘルプ事務局長の川上直哉氏、浄土宗総合研究所研究員の林田康順氏が発題。
 小憩後、本山一博委員長をコーディネーターに、登壇者全員でディスカッション。また、フロアの参加者からの質問も交えて議論が重ねられた。

横路孝弘氏招き学習会

新宗連 憲法研究会

 新宗連憲法研究会(赤川惠一座長)は11月7日午後2時から、東京・代々木の新宗連会館で第30回憲法研究会を開催し、衆議院議員の横路孝弘氏を講師に招き学習会を行った。
 横路氏は「日本国憲法について」と題して講演。始めに日本国憲法制定の経過に触れた上で、2012(平成24)年に発表された自由民主党の憲法改正草案の問題点について、全体的に「自由」に制限がかかっていることを指摘。また、内閣総理大臣はじめ政府の権力増大が図られており、国民よりも国家を優先している点などを挙げ、「戦争の反省がどれほど生かされているのか疑問」と懸念を示した。
 集団的自衛権については、国際連合が規定する集団的自衛権の要件として、?同盟国が攻撃を受ける?攻撃を受けた同盟国から支援要請がある―という2点を説明。また、その他国からの攻撃が「日本の存立」を危うくさせるもの、つまり日本への侵攻などが予想される場合に集団的自衛権は行使されるべきであるが、現在の議論では、集団的自衛権を行使しないと、「日米関係が危うくなる」とされ、それが「日本の存立が危うくなる」と拡大解釈され、集団的自衛権行使のハードルが下がる危険性を指摘した。
 最後に、海外において日本の青年海外協力隊などへの信頼は高いと指摘し、「このような活動こそ続けていくべき」と主張。従軍慰安婦や南京事件の問題が何度も繰り返し起こるのは「日本が戦争の総括を行っていないから」と述べ、「まずは先の大戦の反省、総括を行うべき」だと訴えた。

結成60周年迎え式典 基盤を固め強化へ

新日本宗教青年会近畿連盟

テーマに基づき、石倉氏、保積氏、深田氏、田澤氏から多彩な発題が続いた
 新日本宗教青年会近畿連盟(青近連、益本圭一郎委員長)は11月9日午後1時から、大阪市の大阪国際交流センターで「青近連結成60周年記念式典―『わ』の創造」を開催した。
 益本圭一郎青近連委員長と新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)の岩渕明大委員長があいさつ。岩渕委員長は、青近連が新宗連初の青年組織として1954(昭和29)年に結成、今日の青年会発展の基礎となったことを語り、先達への感謝と祝いの言葉を述べた。
 新宗連の保積秀胤理事長のビデオメッセージが上映された後、益本委員長が基調報告。青近連の60年の歩みを辿り、「『とりあえずやってみる』が青近連の大きな特徴であった」と語った。また現代の情報化社会の進展に触れ、6月に青近連の受け入れで開催された「ユースフォーラム2014」で、コミュニケーションをテーマとしたことを紹介し、今回のパネルディスカッションにつながったことを説明した。
 パネルディスカッションでは「コミュニケーション」をテーマに、石倉寿一大慧会教団次代会長、保積志胤大和教団統理、深田惠子円応教恵主、田澤清喜松緑神道大和山教主が登壇。生田茂夫新宗連事務局次長がコーディネーターを務めた。
 石倉次代会長は「信仰とは心磨きであり、人様の幸せを自分の幸せとすることが大切」と述べ、「失敗してもいいから、青年らしく行動してほしい」と語りかけた。保積統理は「ご先祖様、ご神仏、大自然とコミュニケーションをとることで心作りをさせていただくことが重要」と述べた。深田恵主は東京自殺防止センター創設者の西原由記子氏に言及し、「心広く優しい気持ちで、相手と同じ目線になって傾聴することが重要」と語った。田澤教主は東日本大震災の被災者との触れ合いから、「コミュニケーションは相互理解であり、違いを大事にして、相手を理解し、行動すること」と述べた。
 最後に、益本委員長が今後の青近連のビジョンを発表。「コミュニケーションを重視し、失敗を恐れずチャレンジすることで、青近連の基盤を固め強化したい」と抱負を述べた。

生殖補助医療の課題 法制化など考える

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日本宗教連盟

 日本宗教連盟(日宗連、保積秀胤理事長)は11月13日午後1時半から、東京・杉並のセレニティホールで「第7回宗教と生命倫理シンポジウム」を開催した。テーマは「生殖補助医療の法制化を考える―現状と課題」。医療技術が急速に進み、卵子提供あっせんや体外受精、代理出産などが法的な位置付けもなく国内の一部で行われていることに対し、医療、宗教、倫理などの視点から検討した。
 保積秀胤日宗連理事長(新日本宗教団体連合会理事長)があいさつした後、慶応義塾大学名誉教授(医学部)の吉村泰典氏が基調講演。「生殖医療の法的・倫理的諸問題」と題し、生殖補助医療の現状を解説。生殖補助医療による出生児が増加し、課題として、生殖補助医療を視野に入れた法律が制定されておらず、技術的にも安全性が確保されていないことを指摘した。
 その中で「今の法律では、代理出産を行う場合、依頼者ではなく出産を行った第三者が母親になる」と説明。何度か親権を巡る裁判が行われているが、裁判所によって判決が異なることから、「一日も早い代理懐胎(出産)を視野に入れた法規制が必要」と訴えた。
 この後、パネリストの浄土宗総合研究所主任研究員の戸松義晴氏と中央学術研究所所長の川本貢市氏、上智大学特任教授の島薗進氏の発題と質疑応答が行われた。宗教教団への生命倫理についてのアンケート調査や、生殖補助医療の商業的側面、家族関係の複雑化、いのちを尊ぶこととは何かなど、法制・倫理・宗教の視点からの課題が問いかけられた。





2014/11/25

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