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第31回教団人セミナー 社会の変動、新宗教の課題とは

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 新宗連は2月18日、東京・代々木の妙智會教団本部で「これからの新宗連の役割と活動について」をテーマに第31回教団人セミナーを開催した。
 今回は宗教社会学・宗教学で博士号を有する新宗連事務局員の隈元正樹氏と武藤亮飛氏が、社会の変動や宗教団体の直面している課題などについて発題を行った。

<家族>形態、現代人の宗教観で発題

 隈元正樹事務局員は「<家族>と新宗教」をテーマに発題。戦後直後から高度経済成長にかけての新宗教発展期は、地方農村から都市への大規模な人口移動があり、主に次三男が都市で新たにつくった<家族>が初代会員に多く見られた。零細商工自営と家族従業者、サラリーマン家庭の専業主婦がその中心だった。
 ところが今、日本の家族は転換期を迎えつつある。共働き世帯が多くなり、晩婚化と少子化や離婚、生涯未婚者が増えている。
 現在、専業主婦の活動に支えられた教会運営は厳しくなっている。また、専業主婦を対象にした生活指導や教えの一部も「時代に合わなくなっているのではないか」と問題提起した。
 武藤亮飛事務局員は「現代の宗教観と人間関係―新宗教コミュニティの現状と今後を考える」をテーマに発題。各種アンケート調査の結果を示し、若者の「宗教離れ」は本当に起こっているのかと問いかけた。
 意識の面では、約6割が「先祖を尊ぶ」と答え、約7割は「宗教心は大切」と答えるなど、若い世代を含め、現在でも高い割合であり、ここ数十年大きな変化は見られない。また行動の面でも、「盆・墓参り」は約8割、「初詣」は約7割と、これも高い割合を維持している。一方、かつて年齢を経るごとに高まっていた信仰を持つ割合が、以前ほどは高まらなくなっているとして、「問題は若者の宗教離れではなく、中高年が信仰に目覚めないことかもしれない」と説明した。
 とはいえ、宗教心や諸実践が教団への所属に結びついていない現状について、宗教の多元化、「コミュニケーション重視とコミュニティ離れ」などが要因として考えられるとした。最後に「何のための、誰のための宗教教団か」を改めて考える必要性を指摘し、時代に合わせることが必ずしも正しいとは限らず、「教団が何を大事にしていくかの選択の問題ではないか」と述べた。
 発題を受けての質疑の後、4グループに分かれて意見交換を行い、発題に対する感想や、自身の信仰体験、教団の布教、提言など活発な意見を交わし合った(写真)

2020/2/18

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