宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 新春のごあいさつ

より一層の組織充実を
いのちの尊重、家庭・社会から

 
平成16年 1月 1日
新日本宗教団体連合会
理事長 深田 充啓

 2004年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご祝詞を申し上げます。私が新宗連理事長のお役を仰せつかって、こうして新年のごあいさつを申し上げますのも8回目となりました。新年を迎えるごとに、過ぎ去った年をふりかえり、新たに迎える年に期待を膨らませ、自らに与えられた責務をいかに全うすべきか、こうして皆様にごあいさつを申し述べながらも、心の中でその一つひとつを確かめているわけでございます。
 昨年は新宗連にとりまして、大きな区切りの年でございました。1951年10月に結成されました新日本宗教団体連合会は、3年前の2001年、つまり21世紀の幕開けの年に結成50周年を迎え、その記念事業が、昨年の3月に開催されました近畿総支部での記念集会をもって完結したのでございます。
 2月には、思い出多いタイ王国のナムトクを訪れ、太平洋戦争当時日本軍が、多くの犠牲を強いながら建設した泰緬鉄道の現存最終地点ですが、かの地で「ナムトクの丘・世界平和祈念の集い」を開催させていただきました。多くの皆様にご参加いただき、有意義な記念の旅とすることができました。
 2001年4月の大阪での記念シンポジウムに始まり、東京での記念式典と祝賀会、そして2年間にわたって繰り広げられた全国各地での記念集会と成功裏に開催することができましたのも、数多くの方々のご協賛とご協力をいただいたたまものと、厚く感謝申し上げる次第でございます。

 全国に協議会網

 さて、昨年はもうひとつ大きなできごとがありました。それは、近畿総支部に滋賀県協議会が誕生したことでございます。7月に草津市で行われました発会式には私も参列させていただきましたが、この滋賀県協議会の発足を持ちまして、全国に新宗連の協議会網が完成したこととなりました。
 新宗連は全国を11のブロックに分けて総支部が設置されておりますが、その総支部が全国に完成いたしましたのが、1976年の結成25周年のときでございました。こうした総支部を土台として、その5年後、つまり結成30周年の年に正式に都道府県レベルの初めての協議会が神奈川に誕生し、全国総支部網の完成から四半世紀を経て、全国に協議会網の完成をみたわけでございます。広大な地域を抱える北海道や、交通等の事情によりひとつの道県で複数の協議会を編成しておりますところもありまして、このネットワークは56の協議会組織となっております。
 結成50年にしてようやく全国の組織化がなったわけでございます。教団トップによる宗教対話、宗教協力から始まった新宗連の輪は、全国各地の隅々までに行き渡ることとなったわけで、そして、その輪は、それぞれの地域の特色を持った活動を展開しております。

 CO2の削減

 地球環境問題に取り組む運動にいたしましても、地域の特性を生かして、植林運動や割り箸の回収運動、そしてエコ家計簿の作成など、ユニークな運動が展開されております。こうした運動は、CO2(二酸化炭素)削減運動の一環としての「電力ダイエット」の運動に発展したのでございます。

 電力ダイエットを

 この「電力ダイエット」運動は、この1月から3カ月間試験的に実行することになっておりますが、皆さんの自主的な参加によるものでございますが、すでに4万5千世帯の参加によりこの1月1日からスタートいたしました。このたびの3カ月間の成果を踏まえて、本格的な運動の展開を計画することになっております。
 こうしたCO2削減「電力ダイエット運動」は、各総支部代表による環境プロジェクトによって企画されたもので、トップダウンによる全国運動というものでなく、各地での運動、経験の積み重ねを持ち寄って生み出されたもので、まさしくボトムアップにより企画されたものといえましょう。

 これからの課題とは

 こうした各地での宗教協力の活動は、新宗連の枠組みにとどまらず、新宗連に参加いただいている教団間の交流にとどまらず、各種の宗派、教派の方々との交流も生まれてきております。新たな宗教協力の形が展開されようとしているのでございます。
 さて、こうした組織の発展を図っていく一方、50年以降の課題として、組織の見直しあるいは改変をしなければならない面もあるのではないかと考えております。より組織を活性化していくために、各機関の役員の任期、選出のあり方など、今後企画委員会においてご検討いただくことになっております。
 本部の活動を省みますと、結成50周年を契機として復活いたしました「教団人セミナー」も会を重ねるたびに充実したものとなっており、今後の展開が楽しみになってまいりました。青年会の諸君も、青年平和使節団の積み重ねから、韓国青年との交流が深まり、昨夏には合同セミナーを開催し、本年には、共同してのフォーラムも計画されるようで、大いに期待したいと存じます。
 本年は、イラク・中東問題をはじめ数々の社会的な難題が山積いたしておりますが、ここでひとつ注目いたしておきたい問題が、「教育基本法」の改正問題でございます。改正基本法のなかに「宗教教育」を積極的に取り上げるべきだとの論がございます。確かに、犯罪の低年齢化、あるいは凶悪化が見られ、命の尊さ、家庭をはじめとする人間関係の希薄化など、宗教者としてこころを痛める事件、事象が多発いたしております。
確かに学校教育に幾多の問題があり、制度を整える必要もあろうかとは存じますが、法律に頼るのではなく、まずは宗教者が率先して、地域社会の中でこうした問題の解決に実践的努力をしていかなければならないのではないかと考えるのでございます。
家庭での教育に大きな影響力を発揮できるのは宗教者ならではの役割ではなかと思います。いのちを尊重し、互いを尊敬しあい、慈しみあいながら地域社会を形成していくことに貢献していくことは、宗教者の使命ではないでしょうか。それが、宗教協力によってなされるならば、よりいっそう意義の高いことと存じます。

2004/1/1

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