宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

「いのち」の尊厳に目覚める

宗教の根幹の価値観に沿い活動を

 
2007(平成19)年1月1日
新日本宗教団体連合会
理事長 庭野 日鑛

 あけましておめでとうございます。謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
 新宗連結成55周年の年にあたる昨年は、いのちや環境に関する課題を中心に、さまざまな活動が展開されました。改めて新宗連活動への理解を社会に広めることができたのではないかと思います。加盟教団の諸先生をはじめ、会員・信徒の皆さま方の深いご理解とご協力に、心より感謝申し上げます。
 近年、日本の社会では、いのちのないがしろにされる状況が顕著になっております。昨年後半には、いじめを原因とした子供の自殺が相次ぎました。また自殺する人は、全体で年間3万人を超えています。親の子殺し、子の親殺しという悲惨な事件も起きています。その原因は、さまざまに指摘されていますが、やはり家庭の機能が低下していることが、最も大きな課題であろうと思います。また、「勝ち組・負け組」などという言葉に象徴される競争社会、利益最優先の社会が、幼年時からの人間形成に、ひずみを生じさせているのも事実でありましょう。いわば「心の重病」の只中にあるとさえいえる今日の社会状況は、私たち宗教者の「説かざる罪」でもある、と深く反省させられるのであります。

 自殺問題への取り組み

 こうした状況を踏まえ、新宗連としましても、いのちの問題への取り組みを具体的に実施しました。昨年5月には、「自殺総合対策推進に向けての署名活動」への協力を加盟教団にお願いしました。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」などの市民団体が、自殺対策の法制化を訴えようと各団体に署名運動を呼びかけたことに呼応したものです。締め切りまで3週間という限られた期間にもかかわらず、各教団の速やかな対応により、春季大祭や月例行事などで活発な呼びかけが行われ、全国から寄せられた10万余の署名の中で、新宗連として3万5千人の署名を集めることができました。そして6月、自殺対策基本法が衆院本会議で可決、成立したことは、ご承知の通りであります。今後も、「いのちの問題」に対する活動への支援を活発化させてまいりたいと思います。
 一方、環境問題への取り組みに関しましては、3月に、「第2次電力ダイエット運動」の全国集計結果が報告されました。一昨年7月から3カ月間、延べ4万3千世帯が参加したこの運動では、約187万`hの電力消費量を削減し、二酸化炭素675dの削減量を達成しました。これは、樹木約18万4千本が1年間に吸収する二酸化炭素の量に相当するといわれます。私たちは普段、太陽の光や空気、水などの恩恵を、ほとんど意識しないでいます。今回の運動は、その有り難さに気づく貴重な機会となったの ではないかと思います。
平和活動への取り組みも、さまざまに行われました。昨年2月には、「東南アジア平和使節団」(アジア懺悔行)の「第20次アジア青年平和使節団」として、懺悔行の原点ともいえるタイへ14人の青年を派遣しました。現地では、慰霊供養をはじめ、タイの僧侶との対話、子どもたちとの交流などがなされ、大きな成果が得られたと伺っています。
 毎年8月に国立・千鳥ケ淵戦没者墓苑で営まれる「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」は、昨年で41回を迎え、加盟教団から約3200人の会員・信徒の皆さまのご参列を頂きました。全戦没者の御霊に追悼の誠を捧げ、恒久平和実現への誓いを新たにする機縁とさせて頂くことができました。

 WCRPの活動と新宗連

 古来、日本は、大和の国と呼ばれてきました。この世に大いなる調和を目指すことは、日本という国に生きる人々のおおもとをなす願いであったといえます。戦後60年を過ぎたいま、その願いを今一度心に刻み、恒久平和に向けての努力を、前向きに、着実に積み重ねたいものであります。
 また昨年は、8月に、京都で「第8回WCRP世界大会」開催されました。この世界大会では、新宗連加盟教団の皆さまが中心的な役割を果たされ、WCRP史上最大規模となった対話の場を無事成功に導いてくださいました。私は、WCRP日本委員会の理事長も仰せつかっております。皆さまから頂戴したご支援、ご協力に、この場をお借りして、改めて御礼申し上げる次第であります。
 WCRPの世界大会は、数年に一度、世界的な視点から課題を討議し、今後への道筋を見出そうとするものです。しかし、最も大事なのは、それぞれの国の中で、日頃、諸宗教対話・協力をどう進めるかという点にあると考えております。世界を見渡しましても、日本ほど積極的に宗教協力を進めている国は、あまり例をみません。その中にあって、新宗連は、その代表といえる歩みを半世紀余にわたって続けてきたのであります。今後も、長年の経験を生かしつつ、他団体との連携を深め、個々の心に平安を打ち立てられるような活動を、共々に研鑽し、進めてまいりたいと思います。

 「いのち」の不思議とは

 宗教者の進める諸活動は、つきつめますと、「いのち」を見つめ、尊び、生かす――そのことに集約されるといえます。『法句経』に「人の生(しょう)を受くるは難(かた)く、やがて死すべきものの、いま生命(いのち)あるは有難し」という一節がございます。私たちの「いのち」が、いま、ここに生き、生かされていることほど、不思議で、尊く、有り難いことはありません。その自覚を通して、人は同時に他の一切の「いのち」の尊厳にも目覚めることができるのであります。こうしたあらゆる宗教の根幹となる価値観に沿って活動を展開することが、宗教をもととした連合体の最も大きな特長であると受け取るのであります。
 私は、昨年の理事会で、2期目となる理事長の大役を仰せつかりました。今後も常に和気あいあいとした雰囲気を大事にし、加盟されるすべてのご教団が、活発にご参加頂けるような新宗連を目指してまいりたいと思います。
 皆さまからの一層のご協力をお願い申し上げ、年頭にあたってのあいさつといたします。

2007/1/1

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