宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

より良い社会の形成へ向け
目的遂行へ力強い歩み
平成25年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 岡野 聖法

 2013(平成25)年の新しい年を迎え、謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
 新日本宗教団体連合会(新宗連)は、一昨年10月17日の結成60周年記念集会に引き続き、公益法人制度の改革に伴い、昨年4月1日に「財団法人」から「公益財団法人」に移行し、新たなスタートを切りました。新宗連にとって大きな切り代わりの2年間でございました。
 今年は、いよいよ公益財団法人としての、任務遂行の歩みを力強く進めるときと存じます。つきましては、公益財団法人としての目的「豊かな人間性の涵養とより良い社会の形成に寄与し、もって世界平和の実現に貢献する」をあらためてしっかりと理解し、新宗連スローガン「信教の自由を守ろう」「宗教協力を進めよう」「世界の平和に貢献しよう」のもと、皆さまと共に叡智を結集し、具体的諸事業を展開してまいりたいと存じます。
 さて、何か事を成すためには「決断」と「実行」、そして「徹底」と「継続」が肝要かと思います。これからは新宗連の目的に基づく方針と計画でいくのだと決断、決定したならば、きっちりと実行する。そのためには、方針と計画の趣旨を末端まで終始徹底し、理解していただかなければいけません。
 新宗連でいうならば、各委員会や機関が企画し熟慮を重ねて検討した方針と計画案を、理事会・評議員会で充分に審議し決定する。そしてその方針と計画を加盟教団並びに総支部・協議会の皆さまに十分にご理解していただき、実行していただきたくということが何よりも大切なことです。皆さまのご協力とご理解を賜りたく、お願い申し上げます。

 60周年を機縁に、今後の諸活動の展開に大きな力 
 さて、結成60周年の記念事業の一環であります、全国の総支部・協議会主催の「新宗連結成60周年記念集会」は昨年2月の愛媛県協議会の集会を皮切りに、昨年末までに7総支部、31協議会で開催され、本年3月末で終了いたします。
 各記念集会では、結成以来の歴史と活動をまとめたDVD「60年の絆―新たな誓いを」を上映。総支部や協議会の歴史を振り返るとともに、記念講演では、現代における宗教者の役割、平和や環境、教育、人権まで多岐にわたるテーマが取り上げられております。
 私もいくつかの記念集会に参列いたしましたが、この集会を機縁として、新宗連を結成された先師先達の熱い理念と思い、歴史と活動、公益財団法人の意義などをあらためて学び直しました。総支部・協議会に参加されました皆さまにとっても、今後における諸活動の展開に大きく資するものになったと思います。
 また、60周年記念事業の一つであります「教団人セミナー」は、2010(平成22)年から「現代日本の宗教状況と教団人の働き」をメーンテーマに回数を重ねてまいりました。
 昨年8月31日に「無縁社会に『縁』を創り上げる宗教」の講演テーマのもと上田紀行東京工業大学リベラルアーツセンター教授を講師に、また10月22、23日には「公共世界の創出と宗教」の講演テーマのもと小林正弥千葉大学大学院教授を講師に開催し、都合5回のセミナーを実施いたしました。宗教や教団の在り方をめぐって真剣な討議を交わし、これからの新宗連の、あるいは教団人の行動指針となるべき多くの示唆を頂戴いたしました。あらためてご協力をいただいた学者、識者、宗教者の方々、参加いただいた加盟教団の幹部の皆さまに感謝申し上げる次第でございます。

 震災からの復興など現代の課題に応える  
 未曾有の災禍をもたらした東日本大震災から、早いもので今年3月でちょうど満2年となります。
 しかし、被災地の方々にお話をうかがいますと、いまだにガレキの処理が続き、経済を含めた日々の生活、暮らしぶりを考えると真の復興には程遠いものがある、と言われます。また、福島第一原子力発電所の事故により、長年住み慣れた故郷を離れることを余儀なくされ、さらには家族、親せきなどとも離れて不慣れな土地で生活をされている方も大変数多くいらっしゃいます。
 復興には、物質的な支援だけではなく、「心」の支援の重要さが何よりも指摘されているところです。「心」に寄り添う活動は、何よりも私ども宗教者、宗教教団の果たすべき役割でありましょう。人々が心に平安を取り戻し、落ち着いた気持ちとなり、日々幸せに生活できるよう、縁ある方々から接してまいりたく存じます。
個人の幸せは、家族、地域、社会の幸せにつながってまいります。宗教が人と社会を幸せにするものとして、多くの方々の生活の中に浸透し、「活きた宗教」となることを切に願うところであります。
 震災からの復興はじめ、それにかかわる原発とエネルギー問題、自殺防止問題など、日本には大きな課題が山積しております。また、宗教界にも直接かかわる問題として、信教の自由、宗教法人の公益性とは何かということも問われております。こうした諸課題にも、私どもは積極的に取り組んでいかなければなりません。
 幸いにして、新宗連の各委員会、各機関が、公開講座、公開シンポジウムなどを開催して諸課題への具体的な取り組みを旧財団法人時代から継続的に展開しており、これからも理事会・評議員会の議を経ながら、より一層細やかに諸課題に立ち向かう所存ですので、多くの関係者、加盟教団の皆さまのご協力をお願いするものでございます。

 感謝と報恩に徹して再生、再建に向かう年に
 今年の干支「癸巳(みずのと み)」の「巳」とは蛇を表します。蛇は生命力が強く脱皮するということから、再生のシンボルととらえられております。その意味では、今年こそ日本の再生、再建に向かう年といえましょう。昨年12月には衆議院議員総選挙が行われ、大きな政界再編をもたらしました。国政に携わる方々には、国民の幸せにつながる舵取りに専念していただくことを願う次第です。
 私ども新宗連は「世を益し、人を益す」という宗教団体の連合体として、また、より良い社会の形成に寄与する公益財団法人としての役割を果たし、毎日の生活の中で感謝と報恩に徹し、日本を再生、再建してまいりたく存じます。

2013/1/1

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