日宗連 宗教法人の公益性に関するセミナー
田中恆清理事長の開会あいさつに続き、赤坂憲雄学習院大学教授が基調講演。震災以降、被災地を歩いた自身の経験は「巡礼であった」と語り、そこに取り残された鳥居や寺社に触れ、「被災地では宗教がむき出しになっていた」と述べた。また、被害が大きかったのは明治以降の埋め立て地等の新しく人間が進出してきたところであると語り、「人間と自然の境界を引き直すことが課題となっているのではないか」と指摘した。民俗芸能における供養・鎮魂の機能、コミュニティー再興の条件として、宗教が果たす役割について説明した。
続いて、福島県宗教団体連絡協議会会長で、福島県神社庁庁長の丹治正博氏、仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ)事務局長の川上直哉氏が、それぞれ被災地の復興状況と宗教の役割、そして課題などについて具体例を挙げ説明した。
この後、日宗連理事で国学院大学教授の石井研士氏をコーディネーターに、赤坂、丹治、川上の3氏に、弁護士で日宗連評議員の長谷川正浩氏が加わり、パネルディスカッションを行った。
他者と共に生きる歓び 積極的行動を討議
WCRP? オーストリア・ウィーン
開会式で、ウィリアム・ベンドレイWCRP国際委員会事務総長はあいさつの中で、「現代の世界には平和への脅威が急速に広がっており、宗教者の行動が必要である」と参加者に訴えた。その具体例として、宗教の名を騙(かた)る暴力やテロリズムの増加、諸集団間での敵対心の拡大などを挙げ、それらの解決のためには、「他と共に生きることが根源的に善であることを、非暴力で示していくことが重要である」と述べた。
全体会議は大会テーマの他、「紛争解決・平和構築」「正しく調和のとれた社会」「地球を尊重する人間開発」のテーマのもと、開催された。
全体会議?では、庭野日鑛WCRP日本委員会会長・立正佼成会会長が発題。宗教指導者だけではなく信者一人ひとりが、身近にいる隣人との出会いの中で、「一切のものに対する限りない慈しみの心」など、各宗教が共通して教えていることを実践していくよう呼びかけた。
フードバンクを学ぶ 表面化しない貧困を指摘
プラサード・ジャパン講演会
應典院倶楽部が毎年、年末から1月にかけて実施している「コモンズフェスタ」の一環として、フードバンク活動を進めている「プラサード・ジャパン」は12月15日午後1時半から、大阪・天王寺の應典院本堂ホールで、講演会などを開催した。テーマは「日常ユートピアの建立―宗教者の信道支援の新たな可能性を求めて」。第1部として「NPO法人フードバンク山梨」理事長の米山けい子氏が講演を行った。
フードバンクとは、食品メーカーなどから外装箱の印字ミスや凹みなどで市場に出荷できなくなった食品を提供してもらい、「貧困問題」対策に活用するシステム。米山氏は、対象者ごとに家族構成などをヒアリングし、食材の量や種類を細やかに調整していることを説明。最初の相談窓口となる行政機関と連帯をすることで、より細やかな支援が出来ると解説した。
隣近所や親戚に知られたくないという理由から、生活保護の申請をせずに、食料支援を申し込んでくる場合もあり、表面化しない貧困があることも指摘し、フードバンクが生活保護では対応しきれない部分のセーフティーネットとして機能しているとも述べた。
来年度事業計画案を協議―企画委員会
新宗連企画委員会(新井光興委員長)は12月11日午後1時半から、東京・代々木の新宗連会館で委員会を開催した。年度内に開催を予定している「第26回教団人セミナー」「東日本大震災・新生復興祈念集会」について協議。この後、平成26年度事業計画案について協議を行い、来年発災から20年を迎える阪神・淡路大震災の復興状況の調査及びあらゆる自然災害で犠牲となられた方々の慰霊などを計画に盛り込み、理事会に上程することとした。
2013/12/26
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