宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

いのちを尊び、和合協力し
世界平和へ飛躍を
平成26年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 岡野 聖法

 2014(平成26)年の新しい年を迎え、謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
 昨年は、6月に霊峰・富士が「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録され、9月には2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決定いたしました。このことは、東日本大震災からの復興、福島第一原発事故の対処という大きな課題はあるものの、将来に希望を抱かせる出来事でした。
 さて、私ども新日本宗教団体連合会(新宗連)にとりましては、公益財団法人に移行しまして、本年4月1日から3年目を迎えることとなります。あらためて新宗連結成から60年余を経て、先師先達の方々が結成に込めた熱き思いと精神を引き継ぎつつ、将来を見据え、新宗連の目的である「豊かな人間性の涵養とより良い社会の形成に寄与し、もって世界平和の実現に貢献する」ことに専心して参りたいと存じます。
 昨今の社会情勢をとらえ、新宗連の役割を考えてみますと、私たちは信仰者であるという側面があると同時に、衣食住を共にする地域社会の市民であり、日本に暮らす国民でもあります。ともすると、社会の宗教に対する評価として、“信仰に凝ると正道を逸脱する”などという見方をされることもあります。しかし、私は、新宗連とは広い視野と土壌があり、大所高所からさまざまなことを学び、地域社会に貢献し活動し得る組織であると考えます。こうした新宗連の諸活動の展開が、良識を備えた市民、国民の一人でもある信仰者の一側面を社会に伝えることになるのではないでしょうか。
 新宗連加盟の各教団におかれましては、教えや方針を忠実に守ることを第一に日夜、布教活動を展開されていることと存じます。そうした教団の活動を現代社会の中でより良く推進するためにも、新宗連の理念や方針、活動を取り入れ、役立てていただければと思う次第です。

 運営の円滑化図る『手引き』作成へ
 現在、新宗連の理念や活動をよりご理解いただき、新宗連総支部・協議会、新日本宗教青年会連盟の運営の円滑化を図るため、『運営の手引き』を作成中です。『手引き』は今年4月からの運用を目指し、準備を進めております。
 昨年9月18日、香川県琴平町で開催いたしました全国総会で草案を提示いたしました。『手引き』の「はじめに」では「結成から60年余にわたって培われてきた先師先達の方々の心、ひいては今日まで伝承されてきた新宗連活動の根幹となる『結成の精神』についても深く見つめ直し、その役割、存在意義などを明らかにしていくことが必要になってきております」と謳っております。
 今から63年前、新宗連を結成された先師先達の思いはどのようなものであったのでしょうか。結成の時代は1951(昭和26)年、サンフランシスコ講和条約の調印が行われ、日本も独立国への歩みを始め経済復興とともに精神復興が急務でありました。その時代において、戦前の宗教弾圧を受けた先師先達の方々は、「信教の自由」の必要性を強く訴えられ、新宗連結成を熱い思いで決意したのであります。
 「結成声明書」(1951)には、「(新宗連結成は)ひとり我国宗教界の一大慶事たるのみならず、必ずや人類福祉の増進と世界平和の促進とに寄与貢献することの尠少(せんしょう)ならざるもの」と記し、「新日本宗教団体連合会要覧」(1952)の「設立の意義」には「大愛大和による協力一致とこの協力による基盤の確保こそ、あらゆる宗教活動のもっとも根本的な支柱である」と記しております。
 私どもは、この先師先達の方々の結成の精神、烈々たる思いをあらためて学び、強調して広めていかなければならないと思います。
 先師先達の方々の思いを、公益財団法人としてどのように実現していったらよいのでしょうか。組織運営の点では、機能的・機動的に新宗連活動を展開するために定例の理事会・評議員会のほか、常務理事会を適宜開催し、お互いに意見交換し理解を図っていきます。また、理事会の諮問を通じて専門委員会・機関が「より良い社会の形成」のために、さまざまな調査研究を行うとともに、全国の総支部・協議会が地域において宗教対話・協力に努め、現代社会が直面する課題に応える活動をしていかなければなりません。
 東日本大震災の復興は、いまだほど遠く、福島第一原発の対処の遅れている被災地の現状からみて、支援は今後も継続していかなければなりません。新宗連では、今年3月に「東日本大震災・新生復興祈念集会」を開催し、犠牲者の追悼と被災地の復興状況の学習を行うことを予定しています。

 「信教の自由」の堅持に努める
 新宗連はスローガンの一つに「信教の自由を守ろう」を掲げております。一昨年から議論されております憲法改正問題の中で、「信教の自由」を定めた第20条の改正は、宗教者として看過できない課題となっております。この問題については現在、憲法研究会を通して問題点の整理と対応を図っておりますが、新宗連としては「信教の自由」は何としても堅持していかなければなりません。
 また、信教の自由委員会が中心となり、「現代社会と信教の自由公開講座」を一昨年と昨年の11月に2回開催し、内外に「信教の自由」「政教分離」の重要性を問いかけております。
 さらにスローガンの「世界の平和に貢献しよう」について申すならば、世界の平和実現、共存共栄を祈ることは、どの教団にも共通することでございましょう。その実現のためには、まずは健全な人づくり、つまり本来の人間性を育て、人格形成を図る。この人づくりは家庭の中で行われるもので、この真の家づくりから、国づくりへとつながり、世界平和へ導かれるものと確信しております。
 新宗連の三つのスローガンを旗印に和合協力し、「すべてのいのちを尊ぶ世界」実現のため邁進し、さらなる飛躍を目指して参りましょう。

2014/1/1

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