宗教もしもし相談室
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Headline No.20 憲法記念日 推進、反対の両派が集会

 5月3日の憲法記念日をはさみ、憲法改正、集団的自衛権の行使容認をめぐる集会が相次いで開催された。5月1日には、東京・永田町の憲政記念館で新憲法制定議員同盟主催による推進大会で、安倍政権が進める改憲へのスピードが遅いとして、新憲法制定へ向け一層の努力を尽くすとの決議がなされた。一方、5月3日には、東京・日比谷公園で市民団体、宗教者らによる集会とパレードが行われ、解釈改憲による集団的自衛権行使容認を反対するアピールが続いた。

国民的議論で新しい憲法を 新憲法制定議員同盟

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 改憲を目指す超党派の国会議員らで構成する新憲法制定議員同盟(中曽根康弘会長)は5月1日午後4時から、東京・永田町の憲政記念館で「平成26年度新しい憲法を制定する推進大会―『自立と共生』に向けて」を開催した。
 第1部では、渡辺利夫拓殖大学総長が記念講演。第2部は、はじめに新憲法制定議員同盟の愛知和夫幹事長が開会あいさつ。議員同盟の活動経過報告を行った。また、安倍政権が進める憲法改正と、議員同盟の新憲法制定とは集団的自衛権の行使容認による解釈改憲や、第1条(天皇)の条文などで異なる部分があることも強調した。
 続いて中曽根康弘会長があいさつ。「国民が納得するような新たな憲法を作っていくべき。国民の理解、支持を受けるためにはもっと議論していかなければならない」と述べた。
 この後、自民・民主・維新・公明・みんな・結いの各政党、経済団体、地方組織の代表があいさつ。国民的議論の必要性や解釈改憲の是非、新憲法制定に対する意欲などが語られた。この中で、自民党憲法改正推進本部の船田元本部長は「憲法は国際情勢、環境に合わせて変えていかなければならない。原案を与野党、国民の皆で作っていくためにも多くの政党の賛成が必要」と述べた。
 最後に、大会決議を採択し、閉会した。決議では、集団的自衛権行使容認のための憲法解釈の変更は、「憲法改正に要する時間の問題から止むを得ない」と認めた上で、そのことによって「憲法改正の動きにブレーキがかかってはならない」と強調している。

安倍政権の憲法軽視を批判 5・3憲法集会

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 2014年5・3憲法集会実行委員会は5月3日午後1時から、東京・日比谷の日比谷公会堂で「5・3憲法集会&銀座パレード2014」を開催した。同集会は毎年憲法記念日に開催されており、今回のテーマは昨年と同じ「生かそう憲法 輝け9条」に加え、「集団的自衛権行使反対!」「安倍政権の暴走を止めよう!」などを掲げた。
 主催者あいさつの後、ジャーナリストの津田大介氏がスピーチ。安倍政権の憲法第9条をめぐる、これまでの動きを説明し、安倍政権の集団的自衛権行使容認に向けた解釈改憲に対し、「筋の通らないやり方」と批判。さらに、集団的自衛権行使には自衛のための先制攻撃もありえると危惧を表した。
 続いて学習院大学法務研究科教授の青井未帆氏がスピーチ。青井氏は民主主義においては、「多数決」が意思決定の手続きとなっていると説明。しかし、「すべて多数決でいいわけではない。少数者を多数者の好きにしていいわけではない」と述べ、人権を保護し、少数者の自由を守るために多数者(権力)を縛るものとしての憲法が必要と指摘した。
 また、安倍政権が集団的自衛権行使容認を解釈改憲で行うならば、「憲法改正手続きを定めた第96条の意味がない」と指摘。こうした安倍政権の姿勢を「憲法軽視。やってはいけない危険なこと」と批判した。
 この後、集会アピール案が読み上げられ、全会一致で採択した。アピールでは、集団的自衛権行使や秘密保護法などの「戦争準備法」に対する反対が謳われている。
 午後3時半からは銀座パレードを行い、日比谷公会堂から銀座までの道程を市民や宗教者ら参加者が、集団的自衛権行使反対を訴えた。

政治の現状と改憲の危険さを語る

立憲デモクラシーの会

 憲法や政治、経済などの学者らが呼びかけ人となり、4月18日に結成した「立憲デモクラシーの会」は4月25日午後6時から、東京・市ケ谷の法政大学で、公開シンポジウム「『私が決める政治』のあやうさ:立憲デモクラシーのために」を開催した。
 基調講演を愛敬浩二名古屋大学教授(憲法学)と山口二郎法政大学教授(政治学)が行った。愛敬氏は近代日本の憲法史の視点から、立憲デモクラシーの概念は権力を制約するものであることをあらためて解説し、「自民党改正草案は、基本的人権が付属品になっている。安倍政権にとって、近代から構築されてきた憲法は受け入れがたくなっている」と述べ、立憲デモクラシー自体が否定されていることを問題点に挙げた。
 山口氏は現在の政治状況を分析し、「安倍政権は民主主義(デモクラシー)を気取っているが、近代の歴史を否定する(安倍政権の)改憲という野蛮行為は民意と政策をずらし、民主主義を貧相なものにしている。民意をしっかりと反映させるには、暴走する権力に対して憲法が制限をかけることが重要」と述べた。
 この後、「解釈改憲をどうとらえるか」をテーマに、毛里和子早稲田大学名誉教授(中国政治)、青井未帆学習院大学教授(憲法学)、大竹弘二南山大学准教授(政治学)がそれぞれ発題を行った。その中で大竹氏は法による支配の原理が形骸化していることを指摘した。
 閉会にあたり、山岸良太日本弁護士連合会(日弁連)副会長は、立憲主義の堅持と解釈改憲による集団的自衛権行使に反対する日弁連の見解を述べた。

秘密保護法の廃止を訴え、平和パレード

大阪宗教者9条ネットワーク

 大阪宗教者9条ネットワークは4月26日午後2時から、大阪市中央区の大阪カテドラル聖マリア大聖堂地下ホールで「結成4周年のつどい」を行った。
 今回のテーマは「真実が隠されたとき戦争が始まる―秘密保護法廃止を求め、憲法改悪を許さない」。宗教者として学びを深める中で、自らの責務を自覚し、行動することを主眼としている。
 日本キリスト改革派教会牧師であり、宣教と社会問題に関する委員会会長で秘密保護法廃止を求める牧師の会の弓矢健児氏が問題提起を行った。弓矢氏は、秘密保護法によって国民の知る権利が侵害され、それが情報統制・管理社会を生み、報道の自由や思想・良心・表現の自由などの基本的人権を侵害することを指摘。また、国民の知らないところで戦争のできる国に作り変えられ、日本国憲法の平和主義に著しく反すると危機感を示した。
 続いて、北大阪法律事務所弁護士の中西基、日本カトリック正義と平和協議会で清泉女学院大学教授の芝山豊、真宗大谷派報恩寺住職で宗教者九条の和事務局の石川勇吉の3氏が、浄土真宗本願寺派宣光寺住職で大阪宗教者9条ネットワーク事務局長の小倉雅昭氏をコーディネーターにパネルディスカッションを行った。
 この後、午後4時から「平和パレード」を行い、大阪城公園まで宗教者らが平和を訴え、練り歩いた。

2014/5/8

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