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解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に対する見解

平成26年6月24日
「武力によらない紛争解決への道を」
解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に対する見解

新宗連憲法研究会

 新日本宗教団体連合会・憲法研究会は、1951(昭和26)年10月の結成以来、憲法が保障する「信教の自由」「政教分離の原則」をもとに、宗教相互の理解と協力による平和実現への活動を推進してきた経験をふまえ、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更に対して、見解を表明します。
 政府は、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認について、わが国を取り巻く国際環境の変化を主な理由としています。しかし、戦後、わが国は平和主義と専守防衛を国是とし、平和実現に向けて国民の叡智を結集し、外交を積み重ね、「平和国家」として国際的評価を獲得してきました。
こうした戦後の歴史を顧みますと、憲法改正手続きを経ない憲法解釈の変更は、69年間にわたる平和国家への歩みを、一内閣の判断で変えることとなり、将来に重大な禍根を残すものと憂慮いたします。
 宗教団体は、それぞれ固有の教化活動を有するものの、すべての宗教に共通するのは「平和」への祈りであり、「地の塩」として働き、武力によらない紛争解決への願いであります。戦後69年間、日本は「戦争なき時代」を生きてまいりましたが、終戦70年を目前にし、私たちは改めて「いのち」の尊さをかみしめ、各宗教が平和実現のための「人づくり」「国づくり」に向け、よりいっそう働いていくことを誓うものであります。
 憲法条文が、一内閣の解釈によって変更可能となるならば、それは他の条文の解釈変更の可能性を示唆していますが、戦後、多くの国民によって築きあげられてきた「自由」の根幹をなす第19条(思想の自由)、第20条(信教の自由)、第21条(表現の自由)に及ぶことがあってはならないと深く危惧いたします。
 日本をめぐる国際環境は日々変化してきておりますが、わが国が直面する諸問題は、個別的自衛権をもって対処できることを、戦後日本の歴史は示しています。仮に、国際環境の変化で個別的自衛権を超える状況が現出するならば、それは憲法改正手続きを経て、国民全体で考えるべき問題であります。
 平和主義と専守防衛を国是としてきた戦後日本の経験をもとに、「国権の最高機関」である国会において、国際紛争を武力によらずに解決していく方途を探るべく、衆参両院の議員が熟議を重ねていくよう、強く求めるものであります。

2014/6/24

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