宗教もしもし相談室
宗教に関する各種の疑問やトラブルに対する電話相談室です。

新宗連理事長 年頭所感

和合協力し さらなる発展を

絶対非戦の平和活動を推進

平成28年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 保積 秀胤
 

 平成28年、新玉の年を皆さまと共にお迎えできますこと、心よりお慶び申し上げます。
 昨年は日本、新日本宗教団体連合会(新宗連)にとって大きな節目を迎えた年でありました。
 終戦70年、新宗連の「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典(8・14式典)」が第50回を迎え、8月14日の式典当日は、国立・千鳥ケ淵戦没者墓苑にて大島理森衆議院議長をはじめ国内外のご来賓、新宗連加盟教団の皆さまの参列を仰ぎ、例年を上回る2800人余りの方々が参集されました。
 式典は驟雨(しゅうう)に見舞われましたが、皆さまの戦争犠牲者への慰霊と平和を願う真心からの力強い姿に、万感胸に迫る思いがいたしました。
 この大きな節目の式典にあたり、私は主催者あいさつの中で、戦争犠牲者の方々への慰霊と感謝を礎(いしじ)として、一人ひとりの心に神仏の智恵を拝し「平和の砦」を築き、それをもとに平和への行動を着実に進めていくことの大切さを訴えさせていただきました。絶対非戦をもって世界平和を希(こいねが)うこの思いは、今後も変わることなく堅持してまいる所存です。
 新宗連はこの第50回「8・14式典」を迎えるにあたり、新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)の「第50回8・14式典・終戦70年特別事業」と連動しながらさまざま事業を展開してまいりました。
 5月25日から4日間にわたり沖縄を訪れた「平和への巡礼?」(第7回沖縄慰霊平和使節団)では、新宗連役員並びに加盟教団代表も参加いたしました。私にとって沖縄は久方に訪れた地でありますが、多くの戦跡を巡礼し慰霊の誠を捧げさせていただき、戦争の悲惨さ無意味さをあらためて知る旅となりました。

次代担う新宗連青年会の祈りと行動に期待

 第50回「8・14式典」にあたり、新宗連青年会の面々も会議を重ね、諸々の特別事業を展開しました。
 6月25日、東京で開催した「第28回教団人セミナー」では、青年会代表らが熱意あふるる「8・14式典」参加の呼びかけを行いました。また、式典当日は、千鳥ケ淵戦没者墓苑に広島市の平和記念公園の「平和の灯(ともしび)」から採火した聖火を捧げました。
 1964年(昭和39)年に完成した「平和の灯」建立には、当時の御木徳近新宗連理事長と宮本ミツ常任理事、庭野日敬常任理事が多大な協力をされ、85(昭和60)年の第20回「8・14式典」に寄せられた加盟8教団の聖火が後日、この「平和の灯」に合灯されるなど新宗連と縁が深いものでした。
 戦後70年、第50回「8・14式典」にあたり、こうした新宗連青年会の活動は、皆さまの記憶に残っているものと思います。第50回「8・14式典」は、次代を担う青年達の真摯な行動の積み重ねが結集したものと感じた次第です。
 本年は来る2月19日から26日まで、昨年来展開してまいりました「第50回8・14式典―平和推進事業」の掉尾(ちょうび)として、「平和への巡礼?―第25次アジア青年平和使節団」をタイ、ミャンマーへ派遣いたします。
 昨年5月の第7回沖縄慰霊平和使節団、8月の第50回「8・14式典」の祈りと行動は、今年2月のアジア青年平和使節団へと続き、あらためて新宗連の先師先達が積み重ねてきた恒久平和実現への信念を新たにするものとなりましょう。
 新宗連の将来を担う若人のこうした祈りと行動に、大いに期待するものであります。

新宗連の原点「信教の自由」を守る

 昨年9月19日、日本の戦後防衛政策の大きな転換となる安全保障関連法が参議院本会議で成立しましたが、先立つ17日の参議院特別委員会では「議場騒然、聴取不能」と議事録に記載される採決でもありました。新宗連はこうした議会制民主主義を揺るがしかねない採決に対して同日、「安全保障関連法案の参議院強行採決に対する声明」を発表いたしました。
 声明では、法案採決が正規の憲法改正手続きを経ず「解釈改憲」によって国の基本政策を大きく変えるものとして、「わが国の立憲主義を根底から揺るがすもの」と危機感を表し、立憲主義が時の政府の「解釈改憲」によって損なわれることがなきよう訴えました。今後も解釈改憲が拡大していけば、新宗連の原点である「信教の自由」(憲法20条)をはじめ「個人の尊重」(13条)、「思想・信条の自由」(19条)、「集会・結社・表現の自由」(21条)も歪められる恐れがあります。
 新宗連といたしましては、時代がどう変化しようとも断固として、基本的人権の根幹たる「信教の自由」を守りぬかねばなりません。その決意をあらたにするところでございます。
 本年は例年の諸事業のみならず、憲法改正問題及び安全保障関連法の改正によって惹起される諸問題に継続して取り組み、立憲主義と信教の自由の堅持を希求しつつ、これからも絶対非戦の平和活動を力強く推し進めてまいります。
 また、平和推進事業の一環として「新宗連活動の原点と歴史」をテーマとする平和学習会が一昨年9月から、全国の総支部・協議会で展開され、昨年11月まで62会場で開催されましたが、本年は「信教の自由」「立憲主義の堅持」などをテーマに総支部・協議会での開催を検討しております。

宗教者が果たすべき課題、役割とは何か

 東日本大震災から本年は5年となります。昨年3月には仙台市で「第3回国連防災世界会議」が開催され、私も「防災と宗教」シンポジウムに参加いたしました。被災地では復興に向けた多くの人々の取り組みが進んでおります。震災犠牲者の追悼と復興祈念は、これからも私ども宗教者が先頭に立って担うべき課題であります。
 世界に目を向ければ、グローバル化による経済不安、中東をはじめとして各地でのテロや対立は止まず、混迷の時代の様相を呈しております。
 こうした時代の中で、日本を訪れる外国人観光客は年々増加し、昨年11月の統計で年間1631万人余となり過去最高、来日の主目的は日本の文化に触れることと報じたニュースがありました。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催へ向け、日本を訪れる外国人は増加することでしょう。この明るい話題の中で、共に生き共に栄え、平和を愛する日本の文化、霊性を世界の方々に伝えることも、日本の宗教者の役割の一つであります。
 私ども新宗連は、本年もスローガン「信教の自由」「宗教協力」「世界平和」の旗印のもとに、皆さまと共に和合協力し、さらなる発展に努めてまいりましょう。

2016/1/1

ページの先頭へ