宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

スローガンを旗印に活動

すべてのいのちを尊ぶ 世界実現へ


平成30年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 保積 秀胤


 平成30年の新玉の年を皆さまと共にお迎えできますこと、心よりお慶び申し上げます。
 本年は、日本が近代国家へと歩み出した明治維新から150年を迎え、来春には天皇陛下のご退位と皇太子さまのご即位、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催と我が国にとって慶事が続きます。
 その一方で、無辜(むこ)の人を殺(あや)める殺伐とした事件や、倫理観が問われる政財界での不祥事、予断を許さぬ国際情勢の緊張が続いております。こうした世相に、私たち宗教者は平和と心の安寧を祈り、信仰を広めるとの使命があることをあらためて悟證するものです。
 さて、昨年の新日本宗教団体連合会(新宗連)の主な活動を振り返りますと、5月23、24日に熊本県で「第4回新生復興祈念集会」を開催いたし、犠牲となられた方々の慰霊・鎮魂と併せて、被災地の速やかなる復興をお祈り申し上げました。本年も「第5回新生復興祈念集会」を、5月に岩手県釜石市で開催いたすべく準備を進めております。
 本年3月には東日本大震災から7年となりますが、復興に際しては、未だにさまざまな課題が残っております。大規模な自然災害も年が経つにつれ、人々の記憶から薄れ、風化していくことが懸念されます。私たち宗教者は、悲しみや苦難を乗り越え、懸命に努力されている方々を決して忘れることなく、人々の悲嘆に寄り添い、励ましていく存在でありたいと願っております。

 宗教サミット30周年、国内外の宗教者と共に

 8月3、4日には比叡山宗教サミット30周年を記念する「世界宗教者平和祈りの集い」が、京都市の国立国際交流会館と滋賀県大津市の天台宗総本山比叡山延暦寺で開催されました。「今こそ平和のために協調を〜分裂と憎悪を乗り越えて」のテーマのもと、海外18カ国24人の諸宗教代表含め約2,000人が参加しました。新宗連は主催団体の日本宗教代表者会議に参画し、多くの加盟教団代表の方々にご協力をいただきました。あらためて感謝申し上げる次第です。
 集いで発表いたしました「比叡山メッセージ2017」では、忍耐強い対話と他者の存在を受け入れる努力が平和への近道であることが強調されました。30年前、先達の方々が開発や環境、人権という問題に果敢に取り組み、現在は経済格差や貧困、核廃絶、原子力問題などに新たな課題が生じておりますが、私たちは国内外の宗教者の方々と共に、平和実現への願いをさらに高く掲げ、歩み続けてまいりたいと感じた次第です。
 また、北朝鮮による拉致問題については早期解決を掲げ、昨年3月15日に「北朝鮮による日本人拉致被害者の即時帰国を求める要望書」と24教団代表による「署名簿」を安倍晋三首相に直接お渡しし、あらためて被害者即時帰国への取り組みを訴えました。また4月からは全国の総支部・協議会での拉致問題をテーマに「平和学習会」を展開いたしました。今年3月までに8総支部29協議会で開催される予定です。学習会では拉致問題の理解を深めるとともに、被害者の一日も早い帰国を願う祈りが捧げ続けられております。

 信仰心尊重する社会づくり、東アジア情勢に対応

 さて本年、新宗連は「事業大綱」の重点課題として次の4点を掲げ、取り組んでまいります。
 一つには、一人ひとりが信仰心を深めるとともに、より多くの人々に信仰の尊さを広め、宗教心と信仰心が尊重される社会づくりを推進していく。
二つには、現実味を帯びてきた憲法改正の動向を深く注視し、改正によって生じる諸問題への対応を図っていく。また、一人ひとりが一票を投じる「国民投票」に対する理解を深める学習会を全国で実施する。
 三つには、予断を許さぬ状況となってきた北朝鮮および東アジア情勢に対して、武力でなく対話と協調により平和解決を訴えていく。
 そして四つには、次世代を担う宗教青年の教化育成に力を入れ、世代を超えてより多くの青少年の信仰心を醸成していく。以上、4点でございます。
 具体的事業計画については、3月7日の理事会にて決定いたしますが、重点課題の中で特に憲法改正について申せば、新宗連スローガンの一つ「信教の自由」には、その中核に「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」がありますが、この項目が憲法改正の条文の中で、侵害されるようなことは絶対あってはなりません。
 昨年10月18日の会員総会・学習会では憲法改正と国民投票について学びを深めましたが、同課題については憲法研究会と政治委員会が中心となり、学習会テキストなどの作成ならびに政府への対応を図っていくこととなります。
 また、北朝鮮及び東アジア情勢については、昨年11月23日、東京・千鳥ケ淵戦没者墓苑において、「すべてのいのちを尊び 平和を祈る集い」を開催いたしました。緊迫する北朝鮮情勢に、「絶対非戦」の精神で武力によらない対話と協調による平和的解決を求める「平和へのメッセージ」を発表いたし、さらに墓苑を埋め尽くした約3,800人の参加者により、真心からの祈りが捧げられました。
 争うは天理天則に抗う行為であり、睦まじき世を造り上げねばなりません。これこそ、私たち信仰者の使命であります。
 本年も新宗連スローガンの旗印(はたじるし)のもと、すべてのいのちを尊ぶ世界実現へ向け、祈りとともに率先して諸活動を展開してまいりたく存じます。

2018/1/1

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