震災の記憶 風化させない
新日本宗教青年会関東連盟(青関連、鎌形至委員長)と新日本宗教青年会東北連盟(青東北連、浅野俊一委員長)は2月10、11日の2日間、「復興フレンドシップツアー〜行こうよ!東北2018」を、福島県を中心に開催した。「震災の記憶を風化させないこと」を重視し、現地を訪れ、被災と復興の現状を学び、今後の課題を現地の青年らと共に考えた。
続いてバスに乗り、原発事故により全村避難を余儀なくされた双葉郡葛尾村に向かった。バスには葛尾村副村長の馬場弘至氏が同乗し、説明を行った。
葛尾村は2016(平成28)年6月に避難指示が解除されたが、現在のところ、帰村したのは約200人(約15%)に留まっている。葛尾村に入ると、除染作業で出た大量の汚染土を詰めた土のう袋が積み上げられた仮置き場が至るところに見られた。
馬場氏は「原発被災地は、放射能が目に見えないように、被災状況が一見わかりにくい。家は残っていても放射能汚染の影響や生活の不安など、さまざまな事情で帰れない。心の傷もある。理解するためには想像力が必要」と語った。
11日午前7時、津波被災地である茨城県北茨城市の五浦岬公園にある展望慰霊塔で教団別礼拝を執り行った。この後、福島県いわき市観光物産センター(いわき・ら・ら・ミュウ)を訪問、小名浜港からの遊覧船で復興した港湾を視察した。
午前11時、立正佼成会磐城教会に到着。地元の青年らが合流し、被災時の話を聞いた。津波被災地で現在も暮らす青年は「田舎では地域の結びつきが非常に重要。土地を離れ、散り散りとなっていることの意味を考えてほしい」と語った。また復興作業に従事している青年は、福島第一原発の廃炉作業の過酷さを伝えるとともに、「一見変わらないように見えても、地盤整備や除染など、見えないところで着実に前に向かって進んでいる。私たちは決して悲観していない。福島県は頑張っていると伝えてほしい」と熱く訴えた。
ひきこもる若者への対応は ―青近連学習会
家族や地域ができること
趣旨説明の後、上級心理カウンセラーでひきこもり支援相談士の安達裕子氏が「ひきこもりについて」をテーマに基調発題を行い、ひきこもりのきっかけや、支援などについて説明した。安達氏は「まず、ひきこもりの方を理解することが重要」とした上で、「きっかけはさまざまであっても、ひきこもりの方の不安を和らげ共感し、心から寄りそう事が大切です」と述べた。支援として、ひきこもりの人に対しては本人を無条件で肯定しながら触れ合うほか、居場所づくりや長期的な関わりなどが効果的で、家族に対しては、家族自身の負担軽減が初期の最重要事項になると解説した。
小憩の後、パネルディスカッションに移った。パネリストとして、青近連委員の小林伸一郎氏、同氏の両親である小林猛氏と康予氏、基調発題をした安達氏が登壇。コーディネーターは青近連委員の関岡伸輔氏が務めた。
伸一郎氏は自身のひきこもりの経験を語り、当時、立正佼成会で支部長をしていた母の康予氏から、教会での奉仕を勧められた事がきっかけで、「しぶしぶ行ったが、会員の方々から必要とされることに気付き、自分の居場所があると感じた」と当時の心境を語った。これに対して、両親はひきこもりを無条件で肯定はできなかったが、伸一郎氏を信じ触れ合いを続け見守ってきたと話した。
安達氏は「子どものことを信じ、尊重してきた結果、社会で活躍するようになった。子どものことを本当に思うことが大事です」とパネルディスカッションを総括した。
この後、参加者を数人のグループに分け、学習会の振り返りを行った。それぞれのグループでは活発な意見交換が行われた。
2018/3/1
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