水上勉作、戦争と差別を問う

『釈迦内柩唄』は花岡鉱山の近く、釈迦内村で死体焼き場の仕事に就く家族の物語。忌み嫌われる仕事を引き継ぐことになった娘の葛藤、花岡鉱山から脱走してきた朝鮮人男性との出会いなどを通して、戦争の残忍さ、差別、人間の尊厳とは何かが描かれる。
劇団「希望舞台」の公演は1997年から20年余にわたり全国各地で行われた。人権団体や地域の仏教会が主催することも多く、戦争や人権、いのちを考える演劇としてロングラン公演が続いた。2013(平成25)年の公演で一区切りがついたが、劇団代表や出演者、再演を望む観覧者からの熱い思いから、5年ぶり1000回を目指す巡演として再上演されることになった。今回は俳優座が協力、全日本仏教会が推薦団体となった。
3月2日午後2時から、築地本願寺で記者会見が行われ、劇団「希望舞台」代表で演出家の由井數氏はじめ、主演の有馬理恵さん、父親役の加藤頼さん(俳優座)、母親役の萩原ゆかりさんらが作品の魅力や、公演に向けて思いを語った。
その中で由井氏は、水上勉との親交を振り返りながら、水上の父が火葬の仕事に携わっていたことや、差別や反戦、人間としての尊厳などに対する水上の考えに感動したことなどを話し、「芝居を続けることで、水上の遺志を継いでいきたい」と買った。
また、有馬さんは高校2年の時に、浅利香津世主演の『釈迦内柩唄』の舞台を見て衝撃を受け、役者の道に入ったことを振り返り、「これまでの上演と同じく、差別と戦争をなくしたいとの願いを込めて演じていきます」と抱負を語った。
4月13から15日までの築地本願寺・ブディストホールでの公演は午後2時、午後6時半からの5回(15日は午後2時からのみ)。前売り券は一般3500円、中高生2000円。当日券は各500円増し。「釈迦内柩唄」の内容公演予定などは劇団「希望舞台」のHP http://www.kibou-butai.com/syaka/に。
劇団「希望舞台」は各地での上映を呼び掛けている。問い合せは希望舞台広報(電話090-2779-5917、玉井)へ。
2018/3/31
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