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靖国神社の「公式参拝」に関する意見書を提出

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 新日本宗教団体連合会(新宗連)の信教の自由委員会(力久道臣委員長)は7月27日午後、力久道臣委員長と鈴木裕治副委員長が東京都千代田区の自由民主党本部を訪れ、安倍晋三内閣総理大臣宛ての「靖国神社の『公式参拝』に関する意見書」(別掲)を、自民党組織運動本部長の山口泰明氏に手交した。意見書は山口本部長を通して、安倍総理に届けられる。
 意見書では、新宗連が毎年8月14日、国立・千鳥ケ淵戦没者墓苑で「戦争犠牲者並びに平和祈願式典」を開催できるのは「信教の自由」が守られているためであることを説明。「信教の自由」と「政教分離」原則をはじめとする憲法条文を総理、閣僚、政治家が遵守することを求め、戦争犠牲者の慰霊・追悼は、国民それぞれが自身の信じるあり方でなされるべきとして、「総理はじめ閣僚による靖国神社への『公式参拝』は、特定宗教の『援助・助長』に当たり、その宗教が他のものよりも価値が高いとの価値判断を、政府が示す行為」と指摘する。
 また、総理はじめ閣僚の「公式参拝」は純粋に宗教的なものではなく、政治的なものになっているととらえ、「政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するものと、深く憂慮」するとした。
 そして安倍内閣に、「信教の自由」と「政教分離」原則の再度の確認と、「国民誰もがわだかまりなく戦争犠牲者を追悼することができるよう、賢明な判断と行動をとられますよう、重ねてお願い申し上げます」と訴えている。

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靖国神社の「公式参拝」に関する意見書

内閣総理大臣
 安倍 晋三 殿

 今年も、終戦記念日が近づいてまいりました。私たちは、多年、政府を代表する総理はじめ閣僚が、靖国神社に「公式」に「参拝」をすることは、憲法に定める「政教分離」原則に違背し、「信教の自由」を侵害するものであり、厳に慎まれますようにと歴代の内閣総理大臣に申し上げてまいりました。
 私たちは、毎年、八月十四日に国立・千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」を開催し、多数の宗教団体が、それぞれの礼拝様式に則って、戦争犠牲者の慰霊・追悼をしております。本式典は、「信教の自由」が守られているからこそ開催できるものであり、「信教の自由」とそれを制度的に保障する「政教分離」原則をはじめとする憲法条文は、総理、閣僚、政治家の皆様によって厳しく遵守していただくものであります。
 このように戦争犠牲者の慰霊・追悼は、国民それぞれが自身の信じるあり方でなされるべきです。しかし、総理はじめ閣僚による靖国神社への「公式参拝」は、特定宗教の「援助・助長」に当たり、その宗教が他のものよりも価値が高いとの評価を、政府が示す行為となりえます。それは「政教分離」原則に違背し、他の宗教の「信教の自由」を侵害しうると懸念しております。
 また、「公式参拝」は、純粋に宗教的なものではなく、政治的なものになっていると感じざるをえず、政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するものと、深く憂慮いたします。私たちは、国会議員個々の「信教の自由」を否定するものではありませんが、現状におきましては、政府要職に就く総理及び閣僚が、民間の宗教施設に「公式参拝」することによって、政治的なメッセージが発せられていることは否定できず、総理はじめ閣僚の「公式参拝」に関しては、慎重にならざるをえないと思量いたしております。
 安倍内閣におかれましては、「信教の自由」と「政教分離」原則を、再度、ご確認たまわり、国民誰もがわだかまりなく戦争犠牲者を追悼することができるよう、賢明な判断と行動をとられますよう、重ねてお願い申し上げます。

 平成30年7月27日
新日本宗教団体連合会 信教の自由委員会 委員長 力久 道臣 

2018/7/27

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