宗教もしもし相談室
宗教に関する各種の疑問やトラブルに対する電話相談室です。

靖国神社の「公式参拝」意見書

内閣総理大臣
安倍 晋三 殿

靖国神社の「公式参拝」に関する意見書

 今年も終戦記念日が近づいてまいりました。私たちは、多年、政府を代表する総理はじめ閣僚が、靖国神社に「公式」に「参拝」をすることは、憲法に定める「政教分離」原則に違背し、「信教の自由」を侵害するものであり、厳に慎まれますようにと歴代の内閣総理大臣に申し上げてまいりました。
 私たちは、戦争犠牲者の慰霊・追悼は国民それぞれが自身の信仰に基づいてなされるべきと考えております。しかし、総理はじめ閣僚による靖国神社への「公式参拝」は、特定宗教の「援助・助長」に当たり、その宗教が他のものよりも価値が高いとの評価を政府が示す行為となりえます。それは「政教分離」原則に違背し、他の宗教の「信教の自由」を侵害しうると懸念しております。
 私たちは、国会議員個々の「信教の自由」を否定するものではありません。しかし、「公式参拝」は純粋に宗教的なものではなく、政治的なアピールであり、政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するものと、深く憂慮いたします。現状におきましては、政府要職に就く総理及び閣僚が、民間の宗教法人である靖国神社に「公式参拝」を行う、あるいは春と秋の例大祭に「内閣総理大臣」などの肩書で「真榊」を奉納することによって、政治的なメッセージが発せられていることは否定できません。
 特に本年は新天皇陛下の即位を迎えましたが、代替わりの儀式、特に大嘗祭に対して公金を支出することは「政教分離」に抵触するとの懸念が、ご皇室の中からも聞こえております。「退位礼正殿の儀」や「剣璽等継承の儀」等では、天皇陛下が政治的権能を行使されないよう憲法遵守に配慮しておられたと同様に、即位の諸儀礼に関しましても「政教分離」について熟慮が必要であると拝察いたします。
 これらを踏まえ、安倍内閣におかれましては「信教の自由」と「政教分離」原則を再度ご確認たまわり、賢明な判断と行動をとられますよう、お願い申し上げます。

 令和元年七月二十三日

新日本宗教団体連合会
信教の自由委員会 委員長 力久 道臣

2019/7/23

ページの先頭へ