宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

結成70周年へ向け実働の年に

―世界平和 すべてのいのちを尊ぶ世界―
人類共通の願い実現へ実践を




令和2年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 岡田 光央

 新年、明けましておめでとうございます。皆さまにはますますご健勝にて新年を迎えられましたことと、心よりお慶び申し上げます。
 昨年は、麗しき令和の新しい御代(みよ)を迎え、徳仁天皇陛下御即位を心よりのお祝いを申し上げたいと存じます。
 また、11月にはローマ教皇フランシスコ台下が38年ぶりに来日され、長崎と広島、東京にて集いやミサなどを執行されました。
 11月24日、広島平和記念公園で行われた「平和のための集い」において述べられたメッセージは胸に響きました。
 そこで教皇は、あの恐るべき原子爆弾の投下と悲惨について、次のようなメッセージを表しています。
 《わたしは平和の巡礼者として、この場所を訪れなければならないと感じていました。激しい暴力の犠牲となった罪のない人々を思い出し、現代社会の人々の願いと望みを胸にしつつ、じっと祈るためです。とくに、平和を望み、平和のために働き、平和のために自らを犠牲にする若者たちの願いと望みです》
 そして《紛争の正当な解決策として、核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか》と警鐘を鳴らし《真の平和とは、非武装の平和以外にありえません》と強調しました。
 しかし遺憾ながら、今日核不拡散条約が守られないばかりか核兵器を所有せんとする国さえ存在します。それ故にこそ、教皇は被爆地長崎・広島から核廃絶を発信したのでした。
 察するに核を保有する平和はどこまでも仮の平和でしかなく、それはいつか破られる危険があります。力の均衡(バランス・オブ・パワー)は真の平和をもたらすものではないことを。
 とりわけ日本は、世界で初めて広島と長崎に原爆が投下され、その悲惨な現実を体験した唯一の国であることを忘れてはなりません。
 教皇は結びに《思い出し、ともに歩み、守ること。この三つは、倫理的命令である》と伝えました。
 この三つの倫理的命令は、まさに新宗連のこれまでの平和活動「すべてのいのちを尊ぶ世界の実現」という理念と一致するものであります。教皇の今回訪日のテーマであった「すべてのいのちを守るため:PROTECT ALL LIFE」――新宗連のテーマでもあるこの言葉を胸に収め、われわれは「共生共栄の世界」をめざしてゆく決意であります。


 スローガンのもと、事業大綱4点で活動実践へ

 さて、「令和2年度事業大綱」の重点項目は、前年の課題を引き継ぐ形にて4つのテーマのもと、諸事業を企画し、具体的活動を実践して参ります。
 1、一人ひとりが信仰心を深めるとともに、より多くの人々に信仰の尊さを広め、宗教心と信仰心が尊重される社会づくりを進めていく。
 2、新宗連の結成精神である「信教の自由」をはじめ「基本的人権」「国民主権」「平和主義」など、自由かつ主体的な宗教活動に対して一層理解を深めていく。
 3、「すべてのいのちを尊ぶ世界」の実現に向け、緊迫する国際情勢や地球環境問題を注視し、宗教者、宗教団体、新宗連等ができる社会貢献活動について検討を進めていく。
 4、次世代を担う宗教青年の教化育成に力を入れ、世代を超えてより多くの青少年の信仰心を醸成していく。
 いずれの重点課題も、これまでの長年にわたる新宗連活動の蓄積を踏まえ、時代の課題に応えるものとして検討されたものです。具体的な事業計画は各機関・委員会で鋭意、検討され、2月の理事会へと進められます。
 

 結成以来の救世活動に想いを致し、温かい共生を喚起して

 新宗連は2021(令和3)年、結成70周年という佳節を迎えます。私は1951(昭和26)年の新宗連結成以来、諸先達の熱誠あふるる救世活動に想いを致し、宗門宗派を超えた宗教協力を通して世界恒久平和の実現に向け、新宗連の役員並びに新宗連に集う全国の皆様と共に、更なる実践の姿をもって、結成70周年を迎えさせていただけることを祈念致しております。
 一昨年10月以降、4回開催された理事会にて、信仰や布教、地球環境や宗教者が向き合うべき死刑問題にいたるまで自由闊達(かったつ)なご意見、ご提言が交わされてきました。信仰や信条の異なる者が自由に思いを語り合い、相互協力に資する場を持てることを有り難く感じております。
 私たちは教えの違いを超えて、基本理念である「すべてのいのちを尊ぶ世界」の実現をめざします。それは人類共通の願いでもありましょう。
 これまで心ある宗教者は?人間の生きる意味と目的?を示唆してきました。人間疎外の横溢(おういつ)する時代にあって、私達宗教者は人と人とのつながりによる温かい共生を喚起して、今日一日未来の人類に向かって一粒の?よき種?という利他愛の精神を与え続けねばならないと思うのであります。

2020/1/1

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