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靖国神社の「公式参拝」に関する意見書

内閣総理大臣
安倍 晋三 殿

靖国神社の「公式参拝」に関する意見書

 内閣総理大臣をはじめ閣僚の皆様には、新型コロナウイルス感染拡大の防止、社会経済活動の再興等、連日ご尽力を賜り、誠にありがとうございます。今年も終戦記念日が近づいており、多年に亘り申し上げて参りました、政府を代表する総理はじめ閣僚が、靖国神社に「公式」に「参拝」をすることが、憲法に定める「政教分離」原則に違背し、「信教の自由」を侵害するものであることをあらためてご確認いただきたく、本意見書を提出させていただきました。
 私たちは、戦争犠牲者の慰霊・追悼は国民それぞれが自身の信仰に基づいてなされるべきと考えております。しかし、総理はじめ閣僚による靖国神社への「公式参拝」は、特定宗教の「援助・助長」に当たり、当該宗教が他のものよりも価値が高く、より「正式」なものであるとの評価やイメージを政府が国民に示す行為となりえます。それは「政教分離」原則に違背し、他の宗教の「信教の自由」を侵害しうると懸念しております。
 また、「公式参拝」は純粋に宗教的なものではなく、支持者へのアピールなど、政治的なものになっていると感じざるをえず、政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するものと、深く憂慮いたします。国会議員個々の「信教の自由」を否定するものではありませんが、総理はじめ閣僚や国会議員が、民間の宗教施設に「公式参拝」し、その参拝の事実を喧伝することが、宗教の政治的利用であることは否定できません。こういった観点からも、「公式参拝」に関しては、慎重にならざるをえないと思量いたしております。
 本年も靖国神社の春の例大祭において、「内閣総理大臣・安倍晋三」のお名前で真榊を奉納されたとの報道がありました。真榊の奉納は優れて神道的な儀礼であり、「公式参拝」と同様、総理という立場での宗教的行為であり、特定宗教の「援助・助長」に繋がりかねません。
安倍内閣におかれましては、国民誰もがわだかまりなく戦争犠牲者を追悼することができるよう、賢明な判断と行動をとられますよう、重ねてお願い申し上げます。

 令和二年七月二十一日

新日本宗教団体連合会
信教の自由委員会委員長 力久道臣

2020/7/21

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