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Headline No.111 第55回「8.14式典」、理事会・評議員会、第1回オンライン学習会

第55回「8.14式典」―新宗連青年会

非戦、平和の理念を次世代に コロナ対策講じ 動画配信

8.14式典平和へのメッセージ
 新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会、宮本泰克委員長)は8月14日夕、東京・九段の国立・千鳥ケ淵戦没者墓苑で第55回「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典(8・14式典)」を挙行した。新型コロナウイルス感染防止のため、式典参列は原則、新宗連青年会委員と「8.14式典」実行委員選出教団の在京青年とし、リアルタイム動画配信を通して、それぞれの場での参加を呼びかけた。
 式典は午後6時に開式。主催者あいさつで新宗連青年会の宮本泰克委員長は冒頭、千鳥ケ淵戦没者墓苑での式典を縮小して開催せざるを得なかった一方、式典の意義や思いに変わりないことを強調した。
 また新型コロナウイルスによって、排他的な感情が高まったことで、「『自分さえ守れれば良い』といった内向的で自己中心的な時代に進みつつあるのではないか」と危惧を示し、「我々が率先して平和を呼びかけ、平和への理念を共有し、発展させ、実践することを通して、宗教の有無を問わず、利他の精神を持った人々を増やし、目まぐるしい時代の変化にも負けないネットワークを構築する必要があるのではないでしょうか」と力強く呼びかけた。
 続いて新宗連代表のあいさつで岡田光央理事長(代読=佐原透修事務局長)は、昨年11月に来日したカトリックのフランシスコ教皇のスピーチを紹介した後、「平和を望み、平和の為に働き、平和の為に自らを犠牲にする若者達こそが危機(クライシス)を好機(チャンス)に切り換える?未来の希望の光?であること」を「切に望む」と若者らへの期待を述べた。
 教団別礼拝に移り、解脱会、思親会、松緑神道大和山、崇教真光、玉光神社、パーフェクト リバティー教団(PL)、妙智會教団、立正佼成会の8教団の代表がそれぞれの礼拝様式により戦争犠牲者の慰霊と平和祈願を行った。
 この後、PLの道端直氏が「平和へのメッセージ」を奏上(写真上)。道端氏は幼い頃から両親に連れられ、「8・14式典」に参加し、近年は実行委員として式典運営に携わってきたことを振り返った。そして今は自身が親(世代)となったことを語り、子どもや
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未来世代への思いを語った。
 最後に道端氏は「私たちが普段からできる、平和への行動とは、信仰を続け深めていくこと、信仰の喜びを伝え仲間を増やす。そして次世代につなげること。それこそが、私たち信仰者にできる、世界平和への歩みなのではないでしょうか」と訴えた。
 この後、宮本委員長の先導で「平和の祈り」(黙祷)を捧げ(写真下)、午後7時過ぎ、閉会した。ライブ中継の瞬間最大視聴者は1926人となった。

事業報告と決算、新役員を承認―新宗連

定例の理事会・評議員会を書面評決で開催

 新日本宗教団体連合会(新宗連、岡田光央理事長)は新型コロナウイルス感染予防及び拡大防止の観点、内閣府からの指導等に基づいて、定例の理事会・評議員会を書面表決にて開催した。
 第30期第7回理事会は7月20日付で議決。平成31年度事業報告書案、同年度決算報告書案をそれぞれ承認した。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて提案された令和2年度事業計画の変更を承認した。変更事項は下記の4点。
 ?10月8〜9日に予定していた全国総会の山口県での開催は延期(理事会のオンライン開催などは検討中)。?来年度に新宗連結成70周年を迎えるにあたり、第7回理事会において予定していた「70周年記念事業大綱案」の提案は次回理事会以降に延期。?現環境下における安心と安全に配慮した事業展開方法を考慮し「令和2年度第1回オンライン学習会」を開催。?新型コロナウイルス感染拡大防止対策により、令和2年度に執行が中止となる予算等については「国際救援金」に蓄え、次なる災害等の備えとして活用する。
 第30期第5回評議員会は8月15日付で議決。平成31年度事業報告書案、同年度決算報告書案を承認、可決したほか、「参与」新設についての定款変更を承認。役員等候補選考委員会から提案された第31期役員(理事・評議員)を、原案通り承認した。
 第31期第1回理事会は8月28日付で議決した。第31期理事長(代表理事)、常務理事(業務執行理事)の選任を行い、岡田光央理事長(崇教真光)、宮本惠司常務理事(妙智會教団)、江口陽一常務理事(大法輪台意光妙教会)、石倉寿一常務理事(大慧會教団)、國富敬二常務理事(立正佼成会)を再任。続いて第31期名誉会長と顧問について諮り、深田充啓名誉会長(円応教)、庭野日鑛顧問(立正佼成会)、新井三知夫顧問(救世真教)、保積秀胤顧問(大和教団)の推戴について承認(再任)した。
 また、新宗連役員から推薦する公益財団法人日本宗教連盟(日宗連)の理事と評議員、幹事を承認した。


第1回オンライン学習会―新宗連

政府のコロナ対応策 テーマに 政教分離・信教の自由での課題は

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 新宗連の信教の自由委員会(力久道臣委員長)と宗教法人研究会(仙波達治座長)の共催で8月6日、「令和2年度 第1回オンライン学習会」が開催された。テーマは「政府のコロナ対応緊急支援策と『政教分離』・『信教の自由』〜宗教法人の助成金・給付金・協力金受給の課題」で、白鷗大学名誉教授の石村耕治氏が講演した。
 新型コロナウイルス感染症対策が求められている状況を踏まえて、新宗連として初のオンライン形式の学習会となった。
 石村耕治氏は、まず、宗教法人については、政府の緊急経済対策である雇用調整助成金は申請/給付対象とされたものの、持続化給付金、自治体の休業協力金などについては、申請対象から除外されていることを指摘。それは「政教分離」を定めた憲法89条の規定とぶつかるというのがその理由のようである、と述べた。
 一方で、宗教法人を支援金の申請対象から除外することは、世俗の緊急経済支援策に、事業や活動が宗教であるかどうかの基準を持ち込み、それを理由に差別的取扱いをすることにつながり、「信教の自由」に抵触する疑いがあると解することもできる、と指摘した。
 石村氏によれば、アメリカでもコロナ対策で、連邦(州や地方団体も含む)は大規模な緊急経済支援策を実施しているが、宗教団体を申請対象から除外しない旨を明確にしているという。そして、それは、宗教団体への財政的支援について、「政教分離」原則に基づく「不支援/不助成」ルールを重んじる従来の姿勢から、より「信教の自由」原則を重んじる「非差別」ルールに大きく転換してきていることが背景にある、と解説した。

◆政府・自治体が「補償」を使用しない理由とは

 石村氏は、日本での休業要請・損失補償の実態を整理し、「国や地方自治体は『補償』という言葉を使わない」と述べ、その理由を当局の義務(財政支出)が際限がなく広がることをおそれていると指摘した。
 政府・地方自治体が、「補償」という言葉を使わず、「助成金」「給付金」「協力金」のような言葉選びをした結果、宗教法人へのこれらの金銭の支給が、憲法89条が禁止する公的な「便益」「支出」にあたるとみなされやすい事情もあると分析し、「損失補償ではなく、助成金・支援金という言葉がひっかかる一つの原因」と述べた。
 他方で、雇用調整助成金が宗教法人も対象となったのは、「宗教法人に支給したとしても、その使途は当該法人の職員の給与等に充当することが目的であり、憲法は『信教の自由』を保障しており、当該職員はどのような宗教を信じているかは問われない」と分析した。
 

◆緊急時には緩やかな適用 認められる

 石村氏は、宗教法人以外の公益法人やNPO法人などの場合には、原則として持続化給付金等の申請対象となっていることにも触れ、宗教法人を一律に対象外とするのは、むしろ差別的で、イコールフッティング(競争条件の対等化)の原則に反すると述べた。「憲法に定める『政教分離』は、民主的な世俗社会の構築にとり、重要な原則であるが、分離を強調しすぎると差別につながる」とし、文化財保護のための世俗的側面からの補助金や、火災の際の消防のような行政サービスを受けることを例に挙げた。厳密には「政教分離」に違反するかもしれないが、緊急時には緩やかに適用され認められるという点を強調し、「世俗、緊急の意味をどう考えるかだが、緊急時の世俗的な支援の対象から宗教法人だけ外すことは、むしろ問題ではないか」と私見を語った。
 最後に石村氏は、日本の法体系が影響を強く受けているアメリカの連邦最高裁判決を丁寧に整理した。
 講演後、質問に対して石村氏は、「どういう言葉を使おうと、補償と支援、実質はどちらかが重要」「持続化給付金に関して、宗教団体を除外する意味を問うべき。ある意味では『信教の自由』は『政教分離』より優先される」「法律の解釈は厳密なものから柔軟なものまである。宗教法人への非課税措置すら、公からの便益とみる厳格な解釈もある。今回の事例でそのような複雑な解釈論をするのは得策ではないのではないか」などと答えた。

2020/9/4

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