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靖国神社の政治利用に対する意見書

内閣総理大臣
菅 義偉 殿

靖国神社の政治利用に対する意見書

 内閣総理大臣をはじめ閣僚の皆様には、新型コロナウイルス感染拡大の防止、社会経済活動の再興等、連日ご尽力を賜り、誠にありがとうございます。
 私どもは多年にわたり、政府を代表する総理はじめ閣僚が、靖国神社に国の役職を表明して「公式参拝」をすることが、憲法に定める「政教分離」原則に違背し、「信教の自由」を侵害するものであることをご確認いただきたく、意見書を提出して参りました。今般あらためて、「公式参拝」に関わらず、総理はじめ閣僚らによる靖国神社への関与に対して今一度熟慮いただきたく、本意見書を提出いたしました。
 菅総理におかれましては、昨年十月、また本年四月に靖国神社の例大祭にあわせ、「内閣総理大臣 菅義偉」名で真榊を奉納されました。菅総理は官房長官時代には真榊を奉納されておられなかったとの報道もあり、総理就任後から突然始められた行為は、信仰心の故ではなく、政治的立場の故に奉納したとも受け取られかねません。
 私どもは、戦争犠牲者の慰霊・追悼は国民それぞれが自身の信仰に基づいてなされるべきと考えております。しかし、総理による靖国神社への政治的立場に基づく関与は、特定宗教の「援助・助長」にあたり、当該宗教が戦争犠牲者の慰霊・追悼においては他のものよりも価値が高く、より「正式」なものであるとの評価やイメージを政府が国民に示す行為となりえます。それは「政教分離」原則に違背し、他の宗教の「信教の自由」を侵害しうると懸念しております。またこれらの行為は純粋に宗教的なものではなく、支持者へのアピールなど、政治的な意図がうかがえ、政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するものと、深く憂慮いたします。
 また、閣僚を含む国会議員が、自らの政治的立場を掲げ靖国神社に参拝し、真榊等を捧げ、その事実をSNS等で喧伝されておられます。個々の「信教の自由」を否定するものではありませんが、政治的立場から特定宗教に関わり、またその事実を殊更喧伝する行為は、宗教の政治利用であり、特定宗教の「援助・助長」となりかねません。
 菅内閣におかれましては、「政教分離」の原則に関して今一度ご確認いただき、賢明な判断と行動をとられますよう、重ねてお願い申し上げます。

 令和三年七月二十七日
 新日本宗教団体連合会       
信教の自由委員会 委員長 鈴木裕治

2021/7/27

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