宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

未来へ向け さらなる歩みを
「祈りと光」と共に
  現代社会の課題に応える
令和4年1月1日
公益財団法人 新日本宗教団体連合会
理事長 岡田 光央

 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 一昨年からの、新型コロナウイルス感染症という世界的パンデミック(大流行)は、いまだ終息するには至っておりません。新型コロナウイルスは物質至上主義に陥っている人類社会に対する自然界からの警告と受け止め、神仏の声に耳を傾けつつ、智慧と忍耐により、この危機を乗り越えて行かねばなりません。

 新宗連の原点と歴史を振り返り、70周年事業を継続
 新宗連と致しましては昨年10月17日、結成70周年記念式典を「今、そして未来につなぐ信仰の力と光」をテーマに加盟教団への初のライブ配信で開催いたしました。同式典では4名の先生方に創立精神を基とした貴重な御祝辞を賜りました、深田充啓名誉会長(第四代理事長)、庭野日鑛顧問(第五代理事長)、新井三知夫顧問(元副理事長)、保積秀胤顧問(第七代理事長)に心より御礼申し上げます。また、戦争や災害、コロナ禍によってお亡くなりになられた方々への慰霊と鎮魂の祈りを共に捧げていただきました加盟教団の皆様に心より感謝御礼を申し上げます。
 この度の式典を通して新宗連の原点と歴史を振り返りました時、加盟教団の使命感に燃えた恒常的な宗教活動が不可欠でありました。会員、信者一人ひとりの深い「祈り」と真摯(しんし)なる信仰実践の精華が新宗連70年の歴史を紡いできました。
 式典を通して、私は宗教宗派を越えて信教の自由を守り、宗教協力を進め、平和と自由への貢献を進めてこられた新宗連の先師先達の熱い理念と、それを連綿と紡いできた諸職者の努力と誠意に心から感謝いたします。そしてテーマに込められた未来につなぐ神仏への「祈り」=信仰の力と、社会を照らし浄化する「光」を、加盟教団の皆様と共に継承していく決意を表明いたしました。
 結成70周年記念事業につきましては、令和4年度まで継続いたします。新宗連スローガンをテーマとした座談会、新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)の歴代委員長の座談会、また、戦争犠牲者・物故者慰霊供養団の派遣など、新宗連70周年特別委員会により状況を判断しつつ鋭意、企画が進められております。

 多岐にわたる時代の諸課題に応えていく歩みを共に進める
 私は2018(平成30年)10月、理事長を拝命した際に、理事会に3つのテーマ?宗教の在り方、?環境問題への取り組み、?死刑制度の廃止を提示しました。爾来、理事各位からは、新宗連への期待と提言など、多岐にわたる話題について忌憚のないご意見、思いを語っていただいてきました。意見交換会を通して、現代の宗教者が考えねばならない諸課題のみならず、宗教者の根源にかかわる命題が顕われてきました。
 その中で今、看過できない出来事として、「死刑になりたいから」との理由で他の人々のいのちを害する事件が惹起しております。なんとも自暴自棄、自己中心的な動機による犯罪で極刑は免れない――とは、多くの方々が感じるところでしょう。
 けれども、自らのいのちをも軽んずる「死刑」が他の無辜(むこ)の命を害する要因になってはいないか、そのように病み、心が荒(すさ)んだ人間を生み出した社会に問題はないのか、また事件を起こす前に善導することはできなかったのか。
 かつて、フランスのアンドレ・マルローは述べました。
 「人間は最早、自分が謎であるということを知っています」
 死刑廃止への射程――複雑に絡み合った歯車の糸を現代の荒涼とした人間疎外の中で解決することは容易でないとしても。
 日本には教誨師という、宗教心を受刑者に伝え心情の安定を図り、自己を洞察することにより更生の契機を与える宗教者がおります。真(まこと)の人心の救済をはかり、人を殺(あや)めることを未然に防ぐこと――世界を火宅と穢土にしないよう努めることは、現代の宗教者に課せられた重要な役割であると信じます。
 厳しき時代にあっても尚、世の亀鑑たるべき宗教関係者は「責めず、裁かず、恕(ゆる)す想念」を喚起して、連続する平和のイメージの回復に向って挺身せねばなりません。
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2022/1/1

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