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Headline No.133 ユースフォーラム2023 北海道で開催―新宗連青年会

アイヌ民族の歴史から共生について学ぶ

 新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会、宮本泰克委員長)は4月22、23日、新日本宗教青年会北海道連盟(青道連)の受け入れにより、北海道札幌市と白老町で「ユースフォーラム2023」を開催した。
 「共生―違いを知り、理解し、ともに生きる」をテーマに、自分と考え方の違う人とでも、その人のことを知り、理解し、共に生きていくにはどうしたらよいかを考え、実践していく契機になることを目的とした。新宗連加盟8教団から参加した70人の青年が二日間にわたり共に考え、語り合った。
 
23.04.22-23/YF2023C講演会 樽木さん/石倉.jpg
22日夕、札幌市の会議場で北海道アイヌ民族の川上裕子氏(札幌アイヌ協会教育文化部長)、樺太アイヌ民族の楢木貴美子氏(樺太アイヌ協会副会長)を招き、講演会を開催。まず、樺太(サハリン)が先祖の故郷である楢木氏(写真右)が「千島、樺太、東北など北海道以外にもアイヌは住んでいたことを知っていただきたい」と述べた。次に、川上氏は「アイヌの村で生まれ育ち、中学校入学まで、世の中はアイヌの人々だけだと思っていた。そこからさまざまな困難を乗り越え、自身がこの目で見てきたアイヌの歴史を皆さんに伝えたい」と語った。
 一方、楢木氏は先の大戦後、樺太から日本に引き揚げてきた「和人(わじん)」と共に北海道の開拓村で育った。楢木氏は「親たちは子どもに樺太アイヌのことを教えなかったが、お酒を飲むと知らない言葉を話す親たちを見て、不思議に思った。後からそれがロシア語や樺太アイヌ語だったことがわかった」と幼少期の思い出を語り、同化政策により日本人になったことでアイヌであることを隠してきた両親の苦労を語った。
 楢木氏はさまざまなアイヌに関する写真を提示し解説、アイヌの民族楽器であるムックリ(口琴)の演奏も披露した。
 川上氏は和人から受けた差別に対して、「苦しい思いもしたが、50歳を過ぎた頃、ハワイで行われた、世界の先住民族との交流大会に参加した時に、自分以上に苦しんでいる先住民族の人が世界にいることを知り、日本人として日本に住み、日本語もでき、アイヌ語も使え、生活ができていることは幸せと感じた」と述べた。両氏の講演の後、班ごとで感想の共有が行われ、両氏の話を聞いて、今自分にできることなどを、青年の目線で語り合った。
 翌23日午前は、アイヌの歴史が学べる施設「ウポポイ(民族共生象徴空間)」(白老町)に川上氏と楢木氏同行のもと訪れ、施設内にある国立アイヌ民族博物館での見学や、伝統芸能の鑑賞などを通じ、アイヌ文化や歴史についてさらに理解を深めた。
 午後は過去に発掘・収集され全国各地の大学において保管されていた、アイヌ民族の遺骨・副葬品のうち、直ちに返還できないものが納められている慰霊施設を訪れ、参加教団別に献花を行い、宮本委員長の先導のもと、参加者全員で黙祷を捧げた。
 

2023/5/31

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