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Headline No.138 シンガポールに調査団派遣―新宗連青年会

 第1次アジア懺悔行から50年、3月のタイ王国使節団派遣へ向け

 新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会、宮本泰克委員長)は11月20〜24日、シンガポールに調査団を派遣した。2014年、第1次東南アジア青年平和使節団(アジア懺悔行)から50年の節目を迎え、3月に予定している第28次使節団のタイ王国派遣のため、今回のシンガポール調査団が企画された。
 新宗連青年会は、毎年8月14日に開催している「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」(8.14式典)の祈りを基に、1974(昭和49)年、第1次東南アジア青年平和使節団を派遣。この際、タイ王国カンチャナブリ県サイヨーク・ノイ国立公園内に建立したタイ式供養塔(サンプラプーン)を中心として、先の大戦で激戦地となったフィリピン、ミャンマーなど東南アジア各国、さらに中国、韓国などへ使節団を派遣。国境や人種、怨讐を超えて、宗教青年として慰霊供養の誠を捧げてきた。
 今回の調査団は、第1次でも訪れたシンガポールで、改めて先師先達の志と行動を学び、その継承と、今後の諸課題の抽出を目的に派遣した。
 11月20日深夜、シンガポールに向け出発した一行は、翌早朝にチャンギ国際空港に到着。専用車で視察地に向け出発した。
日本人墓地公園での祈り
最初に訪れた日本人墓地公園は、現在は高級住宅街の中にひっそりと佇む。墓地には、戦前の日本民間人のほか、「からゆきさん」や戦争で亡くなった兵士も眠っている。第1次の際も訪れ、清掃や朽ちた墓標から名前の書き写し、慰霊供養を行っている。墓地公園内を巡った一行は、御堂にて献花の後、教団別の祈りを捧げ、慰霊と平和祈願を行った(写真)。
ウォーメモリアルを訪問
 続いて、ウォーメモリアル(日本占領時期死難人民記念碑)を訪問(写真)。同記念碑は、日本占領期の民間人戦争犠牲者の遺骨を納めた埋葬室の上に立ち、シンガポールの4つの主要民族(マレー系・中華系・インド系・ユーラシアン)の団結を意味する4本の柱で構成され、人々が共有した苦しみの象徴とされている。一行は、献花と祈りを捧げ、慰霊と平和祈願を行った。
 この後、チャイナタウンに向かい、日本占領期に華僑大虐殺が行われた検問所跡地の一つで、その歴史を伝える碑を訪れ、慰霊を行った。午後は旧フォード工場(戦争資料館)を訪れた。
クランジ戦争紀念碑に向かい、祈りを捧げる
 22日午前は、第二次世界大戦中に戦死したイギリス連邦の兵士、軍属など約2万4千人が祀られているクランジ戦争記念碑を訪れた。ここは、また、日本軍によって殺された中国人軍人が眠る共同墓地ともなっている。一行は、死者の名前が刻まれた慰霊碑に献花し、祈りを捧げた(写真)。
 この後、チャンギ刑務所の資料館を訪れた。ここには、かつてオーストラリア人捕虜により建設された礼拝堂があり、戦時中の信仰の背景や考え方を想像し、意見を交わした。午後、日本軍のシンガポール侵攻の際にイギリス軍が立て籠った沿岸要塞であるシロソ砦を見学した。
 この後、シンガポール国立博物館を訪れ、シンガポールの前史、成り立ちから現在の経済発展に至るまでの歴史を学んだ。
 同日夜に行われた調査団の「ふりかえり」では、今回の経験から戦争・紛争の問題、現代に求められる共生の在り方、次世代への歴史の継承などについて、宗教青年としてどのように活かし、実践していくかを参加者全員が共有した。
 23日にはアラブ街を訪れ、モスクや商店なども見学し、様々な民族で構成され、他宗教が共存するシンガポールの宗教風土に触れた。同夜、解団し、日本へ帰国した。

2023/12/28

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