宗教もしもし相談室
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新宗連理事長 年頭所感

―すべてのいのちを尊ぶ世界の実現―
平和を希求し 祈り 行動する心を磨く

令和6年1月1日  
公益財団法人 新日本宗教団体連合会 理事長 石 倉 寿 一  

 甲辰の新年を寿ぎ、謹んでごあいさつ申し上げます。。
 私たちは、2020(令和2)年以降、新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)に直面してまいりましたが、昨年5月以降、感染症法の扱いも変化し、さまざまな行動の抑制や自粛から、解除や再開を促進する方向に変化してきました。
 この感染症の影響により世界中で亡くなられた多くの方々に哀悼の誠を捧げるとともに、この4年間で体験したこと、学んだことをしっかりと活かしながら、新しい年と未来を展望してまいります。
 「今、そして未来につなぐ信仰の力と光」をテーマに令和3〜4年度にかけ実施した70周年記念事業の締めくくりとして、昨年3月9日に総括式典を行い、新宗連の4つのスローガンの現代的意義を再確認するとともに、一人ひとりが自覚実践をして未来へ継承していくことを誓い合いました。
 今年は、新宗連最初の青年組織である新宗連青年会近畿連盟(青近連)が結成から70周年を迎え、また「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」(8.14式典)から発展した「アジア青年平和使節団」の第1次派遣からも50周年という節目を迎えます。
 私自身も第3次使節団に参加して以来、新宗連青年会の活動を通じて、信仰観や人生観など、青年期に大変触発され、育てていただきました。これから信仰を継承する若い方々に、神仏の存在を感じるような体験、信仰を深めていけるような機会を促進し、未来へ向けて、新宗連全体として支援してまいりたいと思います。
 

 「信教の自由」の尊重を大切にする社会づくり

 4つのスローガンの内「信教の自由を守ろう」は、特に新宗連が結成当初から大切にしてきたテーマです。昨年8月1日、「新宗連が大切にしてきた信教の自由〜信じる自由と信じない自由」というタイトルでメッセージを発表し、信教の自由の基本原則を確認するとともに、「信仰は、あくまでも自ら進んで行うべきことであること」を訴えました。
 一方、新宗連は「信仰心を広めよう」もスローガンで掲げています。信仰心は人それぞれであり、自らの意思で行うものでありますが、自覚的、主体的に信仰する私たちは「心から信じたい」と思っていただけるような日頃の言動など、それぞれの御教えを体現して、その心を磨いていくことがなによりも肝要ではないでしょうか。
 「信教の自由」は一人ひとりの生き方の根本を自ら決めることができる個人の自由であり、基本的人権の根源であるという認識を新たにするとともに、各人が自らの信仰を深く見つめ直す時であると受けとめています。
 新宗連はこうした基本的視点を大切にしながら、これからも一人ひとりの「信教の自由」を尊重し、大切にできる社会づくりを目指してまいります。
 

 関東大震災100年・東京大空襲78年慰霊式典の意義

 昨年11月30日に、東京都墨田区の東京都慰霊堂において「関東大震災100年・東京大空襲78年犠牲者慰霊式典」を開催しました。100年という大きな節目の時にあたり、関係各位の皆様と共に真心からの慰霊供養ができましたことは、本当に貴重な機会となりました。開催に御尽力いただいた皆さま、御参列いただいた皆さまにあらためて感謝申し上げます。
 式典当日も申し上げましたが、関東大震災が発生した9月1日「防災の日」は、「広く国民が災害について認識を深め、これに対する心構えを準備する」ために制定されました。自然災害が激甚化、頻発化する昨今において、この「関東大震災」をはじめとする自然災害は、防災や減災、人命尊重の意義等、今を生きる私たちに貴重な教訓を残しています。私たちは信仰者として、犠牲者一人ひとりの声なき声にしっかりと心を傾け、一つひとつの教訓を胸に刻むとともに、風化を防ぎ、これからの自然災害抑止に向けて、祈りと行動を続けてまいります。
 そして、この式典においては、東京大空襲犠牲者の慰霊供養も行いました。私たちはここ数年、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル軍によるパレスチナ自治区への攻撃等の映像を毎日のように目の当たりにして、胸が張り裂けるような日々を過ごしています。人類がこれ以上、罪を重ねていかないためにも、まず、すべての戦争で犠牲となられた方々に祈りを捧げていくこと、そして、人々が皆、憎しみや怨みの心を捨てて反省、お詫びの心を持てるよう導いていくことができるならば、戦争や紛争は解決に向かっていくものと信じます。
 新宗連では、長らく「絶対非戦」と「すべてのいのちを尊ぶ世界の実現」を目標として祈りと行動を続けてまいりました。
 今なお争いの最中にいる人々、対立や不信関係が続いている厳しい状況下にある人々に深く思いを馳せるとともに、戦争や紛争、争いや対立を煽る心を抑え、多様性や寛容の心をどう広げていけるか、宗教に基づく慈悲や智慧の精神をどれだけ広げていけるかが、私たちが日々できる平和への取り組みではないでしょうか。
 今年終戦79年目となりますが、80年の節目に向け、本年も一人ひとりが平和を希求し、祈り、行動する心を磨いてまいりましょう。

2024/1/1

2024/1/1

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