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Headline No.186 「一食を捧げる運動」50周年 立正佼成会大船教会で報告会

 聖エジディオ共同体が来日、交流深める
 立正佼成会(庭野日鑛会長)は9月13日午前、神奈川県鎌倉市の大船教会で「一食事業報告会」を開催し、約500人が参加。オンライン併用で行われた。
 「一食を捧げる運動」は1975(昭和50)年9月、同会の青年を中心に始まり、今年で50周年を迎えた。これまでに祈りと同悲の心を込めて寄せられた浄財は総額160億円に達し、国内外の災害や紛争、貧困などに苦しむ人々を支える活動に活用されてきた。この節目を機に、海外パートナー団体である聖エジディオ共同体のメンバーが来日し、活動報告と日本の実践者との交流が行われた(写真
一食を捧げる運動
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 一食運動は、“いつでも、どこでも、誰にでも、いつまでも”実践できるわかちあいの運動であり、「ひとの痛みを知り、ひとの幸せを祈り、ひとのために行動する心」を育む信仰的実践として定着してきた。食事を一食抜き、その代金を献金することによって、食料や教育支援、環境保全など世界各地のプロジェクトを支えている。 
 その歩みは1973(昭和48)年の「青年の船」に端を発し、フィリピン・モンテンルパの日本人戦没者墓地再建を契機に一食平和基金が設立された。翌年の第2回世界宗教者平和会議(WCRP)の宣言が少欲知足の実践を呼びかけたことも追い風となり、75(昭和50)年から「節食運動」として展開。時代の流れとともに「一食を捧げる運動」へと発展し、今日まで受け継がれている。
 式典は、三村記代大船教会長(神奈川支教区長)のあいさつで開会。次いで川崎教会の高木快郎氏が一食運動との出合いと実践を語った。高木氏は中学時代に「ゆめポッケ親子ボランティア隊」でフィリピンのミンダナオ島を訪れ、現地の子どもたちと交流した体験を述懐。「経済的に恵まれた日本に住む自分が、同世代の子どもたちのためにできることを考える契機となった」と振り返った。 
 さらに、交通費を節約して献金する取り組みや、週1回の昼食を抜いて祈りとともに献金する実践を披露。「一食運動は誰もが自分の方法で取り組むことができる。世界の平和と貧困解消を願いながら行動することに意味がある」と語った。また、川崎教会で実施した「募金箱グランプリ」を通じた実践の広がりを紹介した。
 この後、聖ディオ共同体の紹介映像を上映し、同団体の医師ハワ・ママリ・サンガレ氏が活動報告を行った。サンガレ氏は、アフリカ南東部のマラウイ共和国で進められている「ドリームプログラム」について説明。成人のHIV感染率が約8・9%に達し、とりわけ若年層の女性や性労働従事者などが依然として高い感染リスクにさらされている現状を述べた。その上で、2002(平成14)年にモザンビークで開始した同プログラムが、無料で質の高いHIV治療を提供し、検査や栄養支援、カウンセリングを組み合わせた包括的医療として発展してきたことを紹介した。現在はアフリカ10カ国で51の医療センターを展開し、結核などの感染症や、がん・糖尿病といった生活習慣病にも対応している点を強調した。
 さらに、「友情、地域との協働、HIV患者自身が仲間を支えるアクティビストの活動、この三つが治療を続ける力になる。質の高い医療と思いやりは両立しうる」と述べ、一食運動による継続的な支援に深い感謝を表した。
 続いて、同共同体のレティシア・ムクワパタ氏が体験を語った。ムクワパタ氏は自らもHIV陽性者としてドリームプログラムに救われた経験を踏まえ、現在はアクティビストとして患者に寄り添っていることを紹介。「私の一日は人々の声に耳を傾けることから始まる。薬を飲み続けることへの不安を共に考え、検査や治療に伴走する。友情は治療の一部であり、小さな喜びを分かち合うことが力になる」と語った。結びに「支援は絶望か再挑戦かを分ける。皆さまの思いやりが希望につながっている」と呼びかけた。
 質疑応答では、参加者から感想や質問が寄せられ、活発な意見交換が行われた。閉会にあたり、一食平和基金運営委員会委員長の斎藤佳佑氏が謝辞を述べ、50年の歩みを振り返るとともに、未来への展望を示した。

 立正佼成会一食平和基金、アフガン地震・ガザ人道危機へ総額1500万円の緊急支援
 立正佼成会一食平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)は、アフガニスタン東部地震およびパレスチナ・ガザ地区の人道危機に対し、総額1500万円の緊急支援を実施すると発表した。
じぇん
アフガニスタンではM6.0の地震により家屋の倒壊が相次ぎ、多くの住民が生活に困窮。同基金は認定NPO法人ジェン(JEN)による炊き出し支援に500万円、平和村ユナイテッドによる現金給付に200万円を拠出する。(写真:食事を受けとる被災者の女の子Ⓒジェン)
 一方、ガザ地区では空爆と封鎖が続き、食料や医薬品が著しく不足し、飢きんに陥る地域も出ている。同基金は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)および特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーンに各400万円を寄託し、食糧・医療支援や炊き出しを継続する。同基金では「宗教の垣根を越え、苦しみの現場に寄り添う支援を続けていく」としている。


2025/10/21

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