祈りを行動へ 青年が担う慰霊と平和の継承
新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会、宮本泰克委員長)は11月30日午後1時から、東京都千代田区の国立・千鳥ケ淵戦没者墓苑で第60回「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」(青年平和式典)を開催した。今回は終戦80年、第60回の節目の年にあたり、戦争犠牲者への慰霊と絶対非戦を誓い、「原点への回帰」を表明した。◇ ◇ ◇
「戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」は1962(昭和37)年に始まり、半世紀以上開催されてきた。60回を機に従来の8月14日から青年会結成月の11月へと開催時期を変更した。
当日は新宗連加盟15教団の青年代表をはじめ、新宗連役員、各界の来賓など約400人が参列し、ライブ配信を通した参加も多数あった。、千鳥ケ淵戦没者墓苑奉仕会の保松秀次郎理事長による来賓あいさつ、15教団による教団別礼拝、加盟教団青年代表者の「平和へのメッセージ」奏上、参列者一同での黙祷、石倉寿一新宗連理事長のあいさつなどが続き、戦後80年の節目にふさわしい厳粛な式典となった。

祈りの原点を再確認
主催者あいさつに立った宮本委員長は、同式典の開催時期の変更について言及した。新宗連青年会は1961(昭和36)年11月に結成し、翌62(昭和37)年4月に第1回式典を千鳥ケ淵戦没者墓苑で実施。その後は68(昭和43)年から8月14日夕刻に開催する通称「8・14式典」として半世紀以上にわたり親しまれてきたが、節目となる第60回を機に原点に立ち返る機会としたと説明。変更の是非を問うのではなく、「この変化をきっかけに今後どのように歩んでいくかを継続的に考え続けることが重要」と強調した。さらに、今年度の青年会活動の柱として「祈りの原点」を再確認する取り組みを挙げた。
2月には新宗連特別事業「平和への巡礼」でタイ王国のナムトクの丘を訪問し、泰緬鉄道建設の犠牲者を慰霊。ナムトクの丘に建つサンプラプーン(タイ式供養塔)は「アジア青年平和使節団」が50年以上にわたり慰霊を続けてきた原点であり、「この慰霊を通し、本式典を『行動の柱』とする姿勢を改めて胸に刻んだ」と振り返った。
4月から8月にかけて広島での被爆体験聴講、原爆資料館での学習、長崎県宗教者懇話会主催の原爆殉難者慰霊祭への参列、「沖縄慰霊の日」の代表者派遣、東京大空襲を学ぶ「8・14平和学習会」など、国内各地でも平和学習を重ねてきた。8月15日は象徴的な日だが、「本来は、いつでも、戦争犠牲者に心を寄せるべきであると日々内省している」と語り、祈りの継続を呼びかけた。
一方、青年会内部では「80年前の慰霊を続ける意義をきちんと学べているのか」「戦争犠牲者が望む慰霊ができているのか」「未来を生きる青年こそ、今も続く世界の戦争や紛争、国内の社会問題、苦しむ人々へ目を向け、行動すべきではないか」といった議論が生まれ、この問題意識こそ、11月開催への転換につながったと明かした。
最後に宮本委員長は「先の大戦とその犠牲者を忘れることなく、慰霊を続けていくことは、これからも私たちの大切な責務です」と述べ、「過去に思いを寄せ、未来の平和を祈り、行動へつなげていく式典となることを願う」と締めくくった。
続いて来賓として「青年に向けてのメッセージ」を述べた千鳥ケ淵戦没者墓苑奉仕会の保松秀次郎理事長は、戦後80年の節目を迎えるにあたり、戦没者慰霊を次世代へ継承する重要性を強調。終戦時に生まれた世代が80歳となる現在、「あと30年後、ここ千鳥ケ淵戦没者墓苑にどなたが参拝に来られるのでしょうか」と投げかけ、継承の課題を示した。新宗連青年会が60年以上前から若い世代に着目し、青年による慰霊の実践に踏み出した先見性を評価。奉仕会は1959(昭和34)年の墓苑創建とともに発足し、戦没者慰霊と崇敬の普及を中心に活動してきたが、近年は小学生・中学生など若年層の来苑促進に注力していると説明。また、墓苑を象徴する紫蘭(しらん)の花に触れ、5月の連休に六角堂へ向かって一斉に咲く姿を紹介した。紫蘭の花言葉が「あなたを忘れない」であることから、奉仕会はこの花を墓苑の象徴とし、慰霊の心を日々の奉仕に重ねているとし、新宗連青年会の長年の取り組みに敬意を表し、今後のさらなる発展を祈念した。
この後、教団別礼拝が行われ、15教団の代表がそれぞれ祈りを捧げ、戦争犠牲者に慰霊・供養した。
平和は日々の小さな優しさ
次に、加盟教団の青年を代表して思親会青年部の松井勇奎(ゆうき)さんが、六角堂正面に立ち、「平和へのメッセージ」を読み上げた(写真)。

また、新宗連神奈川県協議会の平和学習会(6月29日)で聞いた戦争体験談に触れ、「もう二度と同じ悲しみを繰り返してはならない」という願いを受け取ったとし、戦争を直接知る世代から平和のバトンを受け継ぐ最後の世代として、その証言を次世代に伝える使命があるとし、全ての御霊に改めて深い感謝を捧げるとともに「来年も、その先も、この地で、また日々において平和を祈り続け、皆さまとともに平和への歩みを絶やさぬことを誓う」と述べ、祈りを受け継ぎ次代につなぐ決意を示した。
続いて、宮本委員長の先導に合わせて、参列者全員で「平和の祈り」(黙とう)を捧げた(写真)。

結びに、参列した国会議員をはじめとする政治関係者に対し、「二度と戦争を起こすような日本にならないよう、政治の面からお導きを賜りますよう、使命を果たしていただきますようにお願いを申し上げます」と呼びかけ、宗教と政治の双方が平和実現に向けて責任を果たす重要性を訴えた。
2025/12/26
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