宗教もしもし相談室
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Headline No.201 【講演録】ユースフォーラム2026から

「希望の種をまく」―無料塾の実践から考える学びと寄り添い
八王子つばめ塾理事長・小宮位之氏

2026.05.30-31/ユースフォーラムi2026n足利B_0374.JPG

 新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)は5月30、31の両日、栃木県足利市で「ユースフォーラム2026in足利」を開催した。2日目には、東京都八王子市を拠点に無料塾活動を展開する認定NPO法人八王子つばめ塾の小宮位之理事長が「経済的不安を抱えた子どもたちの学びの現状と寄り添い方について―無料塾の実践を通じて」と題して講演。無料塾の実践を通して見えてきた子どもの貧困や教育格差の現状を紹介するとともに、「希望を届けること」の大切さを語った。講演の要旨を紹介する。
◆       ◇       ◆
 私は、学ぶことは未来への可能性を広げることだと考えています。学ぶことで人生の選択肢が増え、自ら未来を切り拓く力が育まれます。
 東京都八王子市で運営する「八王子つばめ塾」は、経済的な事情から学習塾に通うことが難しい子どもたちのための無料塾です。2012(平成24)年に講師一人、生徒一人から始まり、現在は35人のボランティア講師が支えています。これまで500人以上が学び、350人を超える子どもたちが高校や大学へ進学しました。
 活動を通して痛感するのは、「勉強したくても勉強できない子どもたち」が身近にいるという現実です。日本では約9人に1人の子どもが相対的貧困の状態にあるとされますが、その多くは外から見えにくい「見えない貧困」です。経済的な事情によって学ぶ機会そのものが失われることが、教育格差の本質だと感じています。
 ある生徒から「先生、高校へ行く意味って何ですか」と尋ねられたことがありました。その家庭では進学が当たり前の選択肢ではなく、高校へ進んだ先の未来を思い描くことができなかったのです。また、親が難病を患い、生活が困窮した家庭では、食事にも事欠く子どもがいました。こうした現実は、本人の努力不足によるものではなく、生まれ育った環境によるものです。だからこそ、子どもたちが未来を思い描ける環境を届けたい。その思いが活動の原点です。私自身も決して裕福な家庭で育ったわけではありません。高校では授業料を払えず、退学を勧められたこともありましたが、奨学金を借り、アルバイトをしながら学び続けました。また、映像制作の仕事を通じてパレスチナ難民キャンプや東日本大震災の被災地を訪れ、「学びたい」という願いは世界中の子どもたちに共通することや、人に寄り添うことの尊さを学びました。その経験が、無料塾の設立につながっています。
 無料塾は、単に勉強を教える場所ではありません。子どもたちが自信を持ち、「今度は自分が誰かの役に立ちたい」と思える場にしたいと考えています。「つばめ塾」という名前には、巣立った卒業生がいつか戻り、次の世代を支えてほしいという願いを込めました。現在では、その願いどおり、卒業生がボランティアとして活動しています。
 近年は、不登校の子どもたちも増えています。そうした子どもたちに必要なのは、「寄り添うこと」です。多くの子どもは、自分から助けを求めることができません。だからこそ、大人の側から声を掛け、その思いに耳を傾けることが支援の第一歩になります。私が最も伝えたいのは「希望」です。つばめ塾に通ったからといって、全員の成績が劇的に伸びるわけではありません。それでも、「高校へ進学できるかもしれない」「自分の未来は変えられるかもしれない」と思えることには、大きな意味があります。
 未来に向けて、一緒に希望の種をまきませんか。芽が出るのは5年後、10年後かもしれません。しかし、今、種をまかなければ芽は出ません。その小さな種は、やがて誰かの希望となり、次の世代を支える力へと育っていきます。私は、人の心の中にある優しさを信じています。子どもたちの「学びたい」という思いに寄り添い、誰もが未来への可能性を広げられる社会を、皆さんとともにつくっていきたいと思います。

2026/7/28

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